訪問美容の開業届|訪問美容師を開業!個人で届出する書き方や資格を解説

「独立して個人で訪問美容を始めたいけど、開業届って本当に必要?」
「届け出ってどこに出すの?」
まさにこれから起業したいとお考えの方は、このような不安がつきまとうものではないでしょうか?
訪問美容(訪問理容)はこれからの高齢化社会において、ますます需要が高まるサービスです。
しかし、いざ始めようとすると、初めてづくしで行政手続きや必要資格に戸惑う方も多いのは実情。
訪問美容を個人で始めるなら、基本的に開業届の提出が必要になります。
本記事では、訪問美容師として個人で開業する際に必要な「開業届」や「その他の届け出」、資格、注意点などを丁寧に解説します。

すでに訪問美容師をしている方も、これから始める方も、正しい手続きを踏み、安心できる第一歩を踏み出しましょう。


監修者 — 京極琉
京極琉は「世界一のヘアデザイナー」と称され、数々の国際的な美容賞を受賞した実力派。日本の高級ヘアブランド「KYOGOKU」の創設者であり、アジアにおいて非常に高い影響力を持っています。セレブリティ、有名人、スーパーモデル、企業家などのヘアスタイルを手がけ、無数の人々にとって理想のイメージを実現してきました。
パリ・ミラノ・東京コレクションでは公式ヘアディレクターを務め、世界各国でプロ向けの美容技術セミナーにも招かれるなど、
その指導のもとアジアで10万人以上の美容師が一流の技術を学び、「京極琉ヘアデザイン」は世界的なトレンドとなっています。
「完璧なヘアスタイルとは、見た目の変化にとどまらず、自信とセンスを高める鍵である。」—— 京極琉
彼の理念は、美容技術を通して一人ひとりが「最も美しい自分」を表現できるようにすること。現在は日本最高峰のヘアケア技術を台湾市場にも導入し、より多くの台湾の方々にプロレベルの美容体験を提供しています。
【これまでの実績】
・世界的に認められた「世界一のヘアデザイナー」
・日本のトップヘアブランド「KYOGOKU」創設者
・アジアで最も人気のあるヘアアーティストであり、10万人以上のプロ美容師を指導
訪問美容師も「開業届」を提出する!


訪問美容師として個人で活動するなら、原則として開業届が必要です。
開業届は税務上「事業を始めたこと」を国に知らせるための必要書類だからです。
税金の扱いや社会保険にも関わる重要な届出となっています。



ただ、訪問美容を始めるには原則提出を推奨。特に青色申告や口座開設を予定するなら必須です。
事業主として節税に役立つ青色申告特別控除や、赤字になった場合の繰り越し・繰り戻しができるメリットを考えれば、やはり「開業届の提出」をお勧めします。
個人事業主やフリーランス美容師の確定申告について詳しくは、>>美容師確定申告の記事でご確認いただけます。
【訪問美容師】開業届の提出が求められるケース


訪問美容師が開業届を提出すべき具体的なケースについて確認しましょう。
- 個人事業主(フリーランス)の場合
- 副業の場合
- 既存サロンと別屋号の場合
個人事業主(フリーランス)の場合
本業として訪問美容を始めるなら、開業届の届出を行います。
理由は、税務署に事業所得として申告するために必要だからです。
前述のとおり開業届を提出することで「事業を始めた」と税務署に正式に伝えることになり、青色申告や屋号口座の開設などが可能になります。
たとえば、「週に3回以上訪問施術を行っており、そこから収入を得ている」「SNSで営業活動をしている」という方は、すでに“個人事業主”とみなされる活動をしている可能性が高いです。
たとえフリーランスとして活動していて、屋号を持っていなくとも、「訪問美容として事業活動をする」という意思表示があれば開業とみなされます。
具体的に「いくらから確定申告が必要?」という目安については以下をご確認ください。
確定申告が必要になる所得
立場 | 所得の目安 | 確定申告の必要性 |
---|---|---|
個人事業主(専業で訪問美容) | 年間所得が48万円以下 | 不要 |
会社員(副業で訪問美容) | 副業所得が年間20万円以下 | 不要 |
上記以上の所得がある場合 | 年間48万円超 副業20万円超 | 必要 |
副業の場合
副業であっても継続的に訪問美容を行うなら、開業届の提出が推奨されます。
また、会社勤めをしながら休日に訪問美容をしている方も多く見られます。その場合、年間20万円を超える所得が見込まれる場合は確定申告の義務が生じるため、開業届を出しておいた方が安心です。
副業でも屋号付きの口座を開設したり、将来的に本業へ移行する意志があるなら、法人税の軽減に役立つ「10年間赤字を繰り越すことができる点」から見ても、早い段階で開業届を出すことが得策でしょう。
既存サロンと別屋号の場合
すでに美容室を経営している場合でも、新たに訪問美容を始めるなら開業届の提出が必要になることがあります。
特に、訪問美容のサービスを別の屋号・収支管理で行う場合は「新規事業」として扱われるため、別途開業届を提出するのが望ましいからです。
「訪問美容の活動を店舗と分けて管理しているか?」「別屋号・別口座・別収支にしているか?」を確認し、訪問美容事業として開業届を別途提出しましょう。
個人で訪問美容師をするのは実際のところ、儲かるのか知りたいという方は、>>訪問美容は儲からない?で、訪問美容師の年収や、儲からない介護美容師の特徴などを解説しています。
開業届の出し方
ここでは、実際の開業届の出し方について解説します。
- 提出先:税務署
- 期限:開業後1か月以内
提出先:税務署
最寄りの税務署に直接提出するか、郵送・e-Tax(電子申請)で提出できます。
e-Taxの利用には「マイナンバーカード」が必要です。
開業届はこちらからダウンロード、入力、印刷ができます。>>国税庁「個人事業の開業・廃業等の届出書」
また、管轄の税務署がわからない場合はこちらからお調べください。>>国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」
期限:開業後1か月以内
事業開始日から1か月以内に開業届を提出することが法律で定められています。
ただし、遅れて提出しても罰則はありません。後述で詳しく解説しています。
注意点
青色申告を希望する場合、「青色申告承認申請書」も一緒に出す必要があります。
訪問美容を始めるタイミングで忘れずに、税務署へ開業届を提出しておきましょう。電子申請なら自宅でも完結できます。
白色申告より青色申告の方がメリットが多い理由についてはこちらの>>美容師確定申告でご覧ください。
開業届の書き方


画像:国税庁
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
記載項目のポイントを簡潔に整理すると下記のとおりです。
項目 | 記入内容例 |
---|---|
屋号 | 訪問美容室〇〇 |
職業 | 訪問美容業 |
開業日 | 実際に業務を始めた日 |
所在地 | 拠点となる自宅住所など |
事業内容 | 高齢者・障がい者向けの訪問美容サービス、など |
さらに詳細な書き方については、国税庁ホームページにある以下のPDFを参考にして書きましょう。
参考:国税庁「開業届の書き方」
税務署窓口の受付時間は平日の8:30~17:00まで



開業届は難しそうに見えますが、記載はシンプル。
屋号や業種、住所が分かっていれば10分程度で記入できます。
準備するもの
税務署窓口にて開業届出する際に、準備するものは以下のとおりです。
準備するもの
- 開業届
- マイナンバーカード
- (マイナンバーカードが無い場合)免許証などの本人確認書類
- (マイナンバーカードが無い場合)マイナンバー記載のある住民票や通知カード
- 開業届(控え)
- 青色申告承認申請書(必要な場合)
>>出張美容師を個人ででは、訪問美容師の収益モデルや集客のコツ、開業費用、メニュー料金相場などを一挙にご紹介しています。
届出しなくても罰則なない


「開業届を出していなかったらどうなるの?」と不安に思う方も多いでしょう。
実際には、開業届を出さなくても「罰金」や「営業停止」などの罰則はありません。
ただし、開業届を出していないと以下のようなデメリットがあります。
- 青色申告特別控除(最大65万円)が使えない
- 屋号名で口座開設できない
- 公的助成金・補助金の申請ができないケースも
メリット・デメリットについて詳しくご覧になりたい方は、>>【フリーランス美容師】開業届出さないとどうなるをチェックしてください。
開業届に関するFAQも参考にしていただけます。
また、開業時のコストや資金調達などに不安を感じている方は、>>美容師の助成金・補助金で紹介している美容室・サロン開業で活用できる助成金一覧をチェックしてください。
「保健所への届け出」有無の確認も必要!


訪問美容は「開業届」とは別に、自治体によっては保健所への届け出が必要な場合があります。



保健所の手続きは必須ではない地域もあります。
管轄エリアによって手続きが異なるため
自治体ごとに基準や必要書類が異なるため、開業前に必ず保健所に確認しましょう。
たとえば、東京都は施術場所の衛生環境の基準があり、必要な器具や消毒方法が細かく指定されています。
訪問美容師に必要な資格


訪問美容師開業には、最低限の国家資格が必要です。
反対に言えば、それ以外に必須となる資格・免許はありません。



美容師免許さえあれば、誰でも始めることができます。
ただし、成功させるためには専門的な知識を身につけられる資格があると効果的です。併せてご紹介します。
>>訪問美容師の資格|出張福祉美容師の講習はどこがいい?でも、市場のニーズや資格の取り方について解説。
美容師(理容師)免許のみでOK
訪問美容師の開業における最低限の国家資格とは「美容師免許」や「理容師免許」です。
美容師免許 | 理容師免許 |
---|---|
厚生労働省が定める国家資格。訪問美容でも必須です。 | 介護施設や男性利用者向けの出張理容にも対応。 |
>>美容師が理容師免許とるにはでは、美容師と理容師の違いや、ダブルライセンス取得の利点をお伝えしています。



ちなみに無資格で訪問美容を行うと法律違反となります。
店舗に2人以上在籍で必須となる「管理美容師免許」については>>管理美容師免許・資格取得方法で詳しくご覧ください。
介護関連の資格取得もオススメ
必須ではないものの、介護関連の資格取得により、「美容の技術+福祉の視点」が加わり、リピートや紹介につながりやすくなります。
例えば、下記のような資格取得がお勧めです。
訪問美容では、高齢者や障がいのある方への対応が多いため、介護関連の資格を持っていると大きな強みになるからです。
たとえば「介護職員初任者研修」は、体の不自由な方への声かけ・移乗介助の知識を得られる資格で、訪問先での信頼感や安心感につながります。
また、「福祉理美容士」などの民間資格もあり、介護施設や医療機関との連携時に好印象を与えるケースもあります。
>>訪問美容師のデメリットでご紹介している訪問美容師が大変な理由や、よくあるトラブルや失敗例、違法になるケースなどの注意点を理解しておくことでリスクヘッジできます。
まとめ
訪問理美容を個人で始める際は、開業届の提出が第一歩です。
開業届は節税・信用・助成金申請など多くの面でメリットがあり、忘れずに対応しましょう。
あわせて保健所への届け出や美容師資格の確認も忘れてはいけません。
事前準備をしっかり行うことで、スムーズなスタートを切ることができます。
訪問美容は自由度が高く、社会貢献性もある魅力的な働き方。今後のさらなる市場拡大への期待もみえます。
開業の届け出や資格の準備をきちんとしてから、一歩ずつ着実に歩み出しましょう。