美容師・理容師ダブルライセンスのメリットや違い|資格取得について紹介!
「理容師と美容師、なぜ分ける?」
「理容師・美容師両方取得するメリットは?」
「理容師と美容師どっちがいい?どっちが難しい?」
このような疑問を持つ方に向けて、美容師・理容師両方の資格を持つことを指す「ダブルライセンス」について解説していきます。
この記事でわかること
- ダブルライセンスのメリット・デメリット
- 美容師と理容師の違い
- ダブルライセンス取得方法
結論、ダブルライセンスを持つことで理美容のサービスを同時提供できるというメリットがある一方で、サロン在籍者全員のダブルライセンス取得の条件が求められてしまいます。
他にも働き方に幅を持たせることができるなどと、ご自身の働き方や、今後のビジョンにおいてダブルライセンス取得が適正であるか、有益であるかの判断材料としてご活用ください。
この記事を書いた人
ナチュラルな大人可愛いから今時の可愛いまで、お客様に合わせたヘアデザインをご提案させて頂きます。
メンズ似合わせカットや、透明感カラーが得意です。またアイリストのディプロマ取得済み。現在は転職エージェントとしてサイト運営中。
ダブルライセンスのメリット・デメリット
まずは、ダブルライセンスのメリット・デメリットについて比較してみます。
メリット | デメリット |
同店舗で理美容サービスを提供できる 働き方の幅が広がる | 全スタッフ両免許保持が条件 |
一つのお店で理美容業が行えるというのが最大のメリットである一方で、条件付きとなっているのがデメリットとも言えます。
容易ではない条件のため、美容・理容業を双方行っている店舗はまだまだ少ないのが現状。
ただ、早い段階でダブルライセンスを取得しておくことで競合との差別化を図ることもできるため、お店としても美容師個人としても、今後の市場価値上昇が見込めます。
メリットは美容室でもシェービングができること
メリットは、美容室でもシェービングができるようになる点です。
近年、シェービングの価値は上昇傾向にあります。
なぜなら、男性でも眉毛やヒゲをを整えたりと、美容に注力する時代だから。
また、女性であれば「顔剃り」をすることで、角質を取ってメイクのりを良くすることもできたり、リラックス効果にも期待ができます。
他にも、おでこや首スジの生え際をキレイに整えたいという需要にも応えることができるようになるのは、サロンとして質の高いサービスを提供するうえでとても大きな利点となり、集客力にも影響すると考えられるでしょう。
また、個人としてはダブルライセンスを持つことで幅広く活躍できるようになるため、就職する際にも有利に働きます。
それは、2つの資格があれば理容室・美容室のどちらかに限定されることなく就職先を幅広く選べるため。
2つの技術を持つ証となり、採用する側にもアピールすることができるでしょう。
デメリットは全スタッフがダブルライセンス取得を要する点
デメリットは、一つの店舗で理美容の施術を行うのには「条件」が存在していること。
それは、店舗所属の全スタッフがダブルライセンス保持者であることです。
お店に在籍するスタッフの人数が多いほど、難易度が上がってしまうためデメリットと言えるでしょう。
また、スタッフを採用する際にも、ダブルライセンス保持者に限られてしまいます。
その点から、オーナーひとりだけの個人経営など、小規模運営のサロンには有利と考えられます。
参考:厚生労働省「理容師法施行規則及び美容師法施行規則の一部を改正する省令の施行等について(通知)」
美容師と理容師の違い
次に、美容師と理容師の違いについて詳しく見ていきます。
それぞれには、美容師法・理容師法といった法律が国で定められています。
美容師・理容師の違い
- 実技試験の内容に違いがある
- 国家試験の合格基準に一部違いがある
- 施術できる業務内容に一部違いがある
- 活躍できる場に違いがある
美容師とは | 理容師とは |
「容姿を美しくすること」に携わる仕事 女性向けサービスが主軸 【施術内容】 ヘアカット ヘアカラー ヘアセット パーマ メイク 着付け まつ毛パーマ、エクステンション | 「容姿を整えること」に携わる仕事 男性向けサービスが主軸 【施術内容】 ヘアカット ヘアカラー ヘアセット パーマ シェービング |
>>美容師と理容師の違いとは?でも詳しくご紹介しています。
また、理容師免許がないとできないことについては>>理容師になるにはどんな資格・免許が必要?で徹底解説しているので併せてご覧ください。
実技試験の内容に違いがある
美容師の実技内容 | 理容師の実技内容 |
カッティング オールウェーブセッティング (またはワインディング) | カッティング シェービング 整髪 |
美容師・理容師ともに「国家試験」で筆記・実技試験を受験しますが、実技試験の内容において違いがあります。
それは、美容師が2項目に対して、理容師は3項目という点であり内容も上記のように異なるもの。
理由は、次に示す業務内容に違いがあるためです。
詳しい試験内容については
>>【美容師国家試験】ワインディングとは?も参考にご覧ください。
国家試験の合格基準に一部違いがある
理容師と美容師どっちがいい?どっちが難しい?
結論、ほぼ変わりのない合格基準となっていますが一部違いがあります。
ただ、内容的に異なるものであって「どちらの方が難しい、簡単」といった違いとも言えません。
具体的な国家試験の合格基準は以下のとおりです。
【理容師国家試験】
1 筆記試験の合格基準
次の(1)及び(2)の両方の条件を満たしている場合を合格とする。
(1)55問中60%以上の正答率であること
(2)関係法規・制度及び運営管理、公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体の構造及び機能、皮膚科学、香粧品化学、文化論及び理容技術理論のいずれの課目においても無得点がないこと
なお、美容師免許所持により理容技術理論のみの受験を申し出た者については、理容技術理論12問中7問以上の正答数である場合を合格とする。
2 実技試験の合格基準
次の(1)及び(2)の両方の条件を満たしている場合を合格とする。
(1)衛生上の取扱試験
減点が20点以下であること
(2)基礎的技術試験
減点が40点以下であること
【美容師国家試験】
1 筆記試験の合格基準
次の(1)及び(2)の両方の条件を満たしている場合を合格とする。
(1)55問中60%以上の正答率であること
(2)関係法規・制度及び運営管理、公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体の構造及び機能、皮膚科学、香粧品化学、文化論及び美容技術理論のいずれの課目においても無得点がないこと
なお、理容師免許所持により美容技術理論のみの受験を申し出た者については、美容技術理論12問中7問以上の正答数である場合を合格とする。
2 実技試験の合格基準
次の(1)及び(2)の両方の条件を満たしている場合を合格とする。
(1)衛生上の取扱試験
減点が20点以下であること
(2)基礎的技術試験(①及び②の両方の条件を満たしていること)
① 第1課題 カッティングの減点が30点以下であること
② 第2課題 オールウェーブセッティングの減点が30点以下であること
引用元:公益財団法人 理容師美容師試験研修センター
国家試験の合格率
直近のデータから見てみると、第48回美容師・理容師国家試験の受験者数や合格率は以下のとおりです。
令和5年度国家試験 | 美容師 | 理容師 |
受験申込者数 | 4,387名 | 901名 |
受験者数 | 4,149名 | 883名 |
合格者数 | 2,478名 | 653名 |
合格率 | 59.7% | 74.0% |
美容師の合格率は59.7%、一方、理容師の合格率は74.0%と差があるようですが、受験者数にも大きな差が。
美容師の受験者数は、理容師の約4.7倍となっています。
施術できる業務内容に一部違いがある
美容師のみ施術可能 | 理容師のみ施術可能 |
着付け まつ毛パーマ・エクステンション | シェービング |
美容師のみ施術できるものは、着付けや、まつ毛のパーマ・エクステンション。
一方で、理容師のみ提供できるのがシェービングです。
活躍できる場に違いがある
美容師と理容師、それぞれの国家資格を有利に活かせる仕事は以下の内容です。
似ている職種も多い印象ですが、施術できる内容に違いがあるとおり、活躍できる職場も異なる部分があります。
美容師 |
サロン技術者 ネイリスト ヘアメイクアーティスト エステティシャン 福祉美容 ヘッドスパサロン ブライダルサロン ウィッグメーカー(かつら業界) 美容部員(ビューティーアドバイザー) 専門学校講師 美容ディーラー(商品営業) まつ毛エクステンション(アイデザイナー) 商品インストラクター(美容用品) |
理容師 |
サロン技術者 専門学校講師 ブライダルサロン(シェービング) ヘアー&メイクアーティスト エステサロン 商品インストラクター(商品販売営業) シェービングサロン シャンプー専門サロン 訪問理容 ウィッグメーカー(かつら業界) 院内理容 ドラッグストア(カラー&シェービング) メンズサロン |
ダブルライセンス取得方法
美容師が理容師免許とるには、具体的にどうしたらいいの?
ダブルライセンスの取得方法は主に以下の2通りです。
どちらかの資格を保持している場合 | 通信課程 |
資格保持者でない場合 | 専門学校 ・昼間 ・夜間 |
現在は制度改正により、理容師免許・美容師免許のどちらかを取得している場合、最短1年間の昼間・夜間・通信課程でもう一方の免許取得ができるようになっています。
よって最短3年間でダブルライセンス取得が可能です。
理容師になるための資格取得について詳しくは
>>理容師になるにはどんな資格・免許が必要?
美容師になるための資格取得について詳しくは
>>美容師になるための免許・資格を徹底解説
をそれぞれご覧ください。
参考:理容師法施行規則等の一部を改正する省令等の施行について
通信課程
美容師、理容師どちらかひとつ資格を取得している場合には、「通信課程」での就学・資格が取得できます。
免許取得期間は、最短で1年。
その理由は、規制緩和により履修・受験科目の一部免除によるものから。
「免除」について詳しく解説している>>美容師と理容師の違いとは?も併せてご覧ください。
次に、就業しながらでも通信課程が受けられる専門学校をご紹介します。
専門学校
美容師・理容師どちらの免許も未取得の場合には、専門学校にて昼間・夜間課程を修了する必要があります。
美容師・理容師免許を同時に取得できる全国の専門学校を一例としてご紹介します。
学校名 | 所在地 |
中央理美容専門学校 | 東京都 |
東洋理容美容専門学校 | 千葉県 |
静岡県西部理容美容専門学校 | 静岡県 |
名古屋理容美容専門学校(NaRiBi) | 愛知県 |
大阪中央理美容専門学校 | 大阪府 |
福岡理容美容専門学校 | 福岡県 |
費用の相場
専門学校や通信課程で学ぶ場合にかかる費用の相場は以下のとおりです。
通信課程 | 専門学校(昼間・夜間) |
約50~100万円 | 200~300万円 |
まとめ
今回は、美容師・理容師ダブルライセンスのメリットや違い、取得方法について解説してきました。
求められるサービスの多様化が進む理容・美容業界。
競争が激化する業界だからこそ、顧客ニーズやトレンドにスピード感ある対応をとっていくことが必要となるでしょう。
そのためにも、ダブルライセンスについて積極的に取り組む姿勢は適した判断と言えるかもしれませんね。