美容師と理容師の違いとは?取るべき資格やできることなどについて解説
「美容師と理容師の違いについて知りたい」
このような方に、本記事はおすすめです。
美容師と理容師は、基本的に重なる部分の方が多くありますが、細かい部分で違いがあります。
かなり昔に作られた理・美容師法ですが、改訂された部分もあるのでベテランの美容師さんでも「知らなかった」と驚く方もいらっしゃいます。
ここでは、その細かい部分に焦点を当てて詳しく解説しています。
また、最近注目されている美容師と理容師の「ダブルライセンス」についてもご説明しています。
ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人
ナチュラルな大人可愛いから今時の可愛いまで、お客様に合わせたヘアデザインをご提案させて頂きます。
メンズ似合わせカットや、透明感カラーが得意です。またアイリストのディプロマ取得済み。現在は転職エージェントとしてサイト運営中。
美容師と理容師の違い
美容師と理容師は、どちらも国家資格を必要とする職業です。
美容師法の定義
「美容とは、パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」
(美容師法第2条第1項)
理容師法の定義
「理容とは、頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」
(理容師法第1条の2第1項)
美容師は髪や容姿を「美しくする」こと、理容師は「整えること」が仕事とされています。
元々、理容師法は昭和23年、美容師法は昭和32年に施行されたもの。
「理容室(床屋)は男性が行くもので、美容室は女性が行くもの」と考えられていた時代でした。
現在では男性が美容室に行ったり、女性が理容室でフェイスシェービングするというのは当たり前ですよね。
理・美容師法の緩和された現在では、理容師・美容師のできることの大きな差はほとんどありません。
美容師と理容師の違い1.「仕事内容」
美容師も理容師の仕事の内容は、大部分はほとんど同じことができるということになります。
理・美容師法に基づいて簡単にまとめました。
<女性のお客様の場合>
対応 | 美容師 | 理容師 |
---|---|---|
カットのみ | ○ | ○ |
パーマのみ | ○ | ×→○ |
カット&パーマ | ○ | ×→○ |
<男性のお客様の場合>
対応 | 美容師 | 理容師 |
---|---|---|
カットのみ | ×→○ | ○ |
パーマのみ | ○ | ○ |
カット&パーマ | ○ | ○ |
×→○の部分は、平成27年7月17日に発表された新しい通達によって、緩和された部分。
対お客様の性別によってこれまでは違いがあり、少し前まで「美容室での男性のカットのみ」「理容室での女性のパーマ」が違法だったんですね。
美容師と理容師のできることの違いと言えば、このくらいです。
対応 | 美容師 | 理容師 |
---|---|---|
顔剃り | △メイクに必要な場合 | ○ |
ヘアエクステ | ○ | ○ |
マツエク | ○ | × |
美容師も顔剃りができますが、メイクに必要な場合のみ軽い程度となっています。
カミソリを使った本格的な顔剃りは理容師にしかできないというわけです。
また、マツエクは美容師の資格を有する人のみができるとされており、理容師にはできないとなっています。
これからも美容師法と理容師法の緩和や統合などが検討されていくものと考えられています。
今後の動きにも注目ですね。
美容師と理容師の違い2.「資格取得の違い」
美容師は美容学校、理容師は理容学校に通い、それぞれの試験を受けて資格を取得します。
それぞれ違う資格というわけです。
基本的には、美容室で理容師が髪を切ったりすることはできず、理容師の資格では理容室のみ、美容室となるとお客様の髪に触れない範囲の仕事ということになります。
その逆で、美容師として理容室で働くことはできないということです。
美容師と理容師で同じ部分
規制緩和によって、美容室と理容室は同じ職場で営業できるようになりました。
戦後間もない時代から最近までの長い間、美容師と理容師は同じ職場で働くことが禁止されていたんですね。
ただし、この規制緩和、ちょっと現実的ではないかも?との意見も。
美容師と理容師が一緒に働くためには、「理容師及び美容師双方の資格を有する者のみからなる事業所に限り」という条件付きです。
つまり、美容室や理容室で働く資格者のすべてが、美容師と理容師の資格(ダブルライセンス)を持っていないといけないとのこと。
では、ダブルライセンスとは誰でも取得できるものなのでしょうか?
次の項目でダブルライセンスについて解説していきます。
美容師・理容師のどちらも取得はできるの?
美容師と理容師の両方の資格を取得することを「ダブルライセンス」といいます。
それぞれの必要課程を経て各国家試験に合格すれば、取得できます。
理容師にしかできない顔剃りや、美容師にしかできないマツエクなど活躍の幅が広がると注目されています。
これまでの美容師・理容師の資格を両方取るとなると、それぞれ2年過程なので4年かかるとされていました。
理・美容師の勉強する内容は重複している部分も多いとのことから、次のような規制緩和に。
- 片方の資格を目指す際の履修科目を一部免除
- 国家試験もそれに合わせて、免除した科目を除いた筆記試験をする
これによって、片方の養成期間が2年だったものを1年として、最短で3年でダブルライセンスを目指すことができるようになりました。
今後、両方の資格を保有する人が増えていけば、美容師と理容師の違いはますますはっきりとした境界が無くなっていくでしょう。
ダブルライセンスを取得する手順
ダブルライセンスの取り方は、大きく分けてこの二つに絞られると思います。
- 片方を取得後、美容室(理容室)で働きながら通信過程もう一方の資格を取る
- 学校に3年通って両方の資格をいっぺんに取る
基本的に、美容学校か理容学校、どちらか先に通ってどちらかの資格を先に取ることとなります。
理容師か美容師のどちらかを単体で取得する場合には、2年間で卒業することができます。
どちらかの資格を持っていれば、重複する部分の勉強が免除される仕組みになっているので、もう片方の資格は最短で1年で取得できます。
先程、最短で3年でダブルライセンスが取れるとお話ししましたが、最近では全国の美容専門学校でダブルライセンス科と呼ばれる新カリキュラムも続々と誕生。
規制緩和に伴い、ダブルライセンスが取りやすいという傾向にあります。
おすすめは、働きながらもう片方の資格を取るという考え方。
その理由として考えられるのが次の通りです。
- 理美容両方の学科のある専門学校が少ない
- ダブルライセンスを活かす働き口が少ない
- ダブルライセンスを取ると就職が1年遅くなる
制度が改正されてから、まだあまり時が経っていないため、「理容と美容」の両方の学科を備えていない専門学校が多いようです。
カリキュラムを確認したうえで学校を選び、「最初から両方取得」と意気込む必要はなく、まず片方の資格取得を目指すことをおすすめします。
その後、もう片方の資格の取得を考えても遅くありません。
また、ダブルライセンス者だけで構成された美容室や理容室も少ないため、ダブルライセンスをフルに活かすというのが難しいというのが現状です。
まとめ
今回は美容師と理容師の違いやダブルライセンスについて詳しく解説してきました。
まとめ
- 美容師と理容師の仕事にほとんど差がない
- 美容師は本格的な顔剃りができない
- 理容師はマツエクができない
- ダブルライセンスは最短3年で取得可能
- 今後も理・美容師法に緩和が期待されるので要チェック
美容室・理容室の在り方は、時代と共に常に変化し続けています。
自分の興味があること、人に役立ちそうだなと思えることにはどんどんチャレンジしていくのも良い方法と考えられます。
今後の活躍の幅を広げるには、今の働き方が当たり前であることや職種の枠に留まらないことも大切です。
関連記事