シェアサロンとは|デメリットとメリットは?美容師の料金相場や集客・仕組み

美容業界で注目を集めている「シェアサロン」。
従来のサロン勤務とは異なり、美容師やネイリストがフリーランスとして独立し、必要な時間や席だけを借りて働ける新しいスタイルです。
初期費用や固定費を抑えられるため独立のハードルが低く、子育てや副業などライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能になります。一方で、集客や経営は自分で行う必要があるため、メリットと同時にデメリットも存在。
本記事では、シェアサロンで働く美容師にとってのメリット・デメリットを解説します。
解説内容
シェアサロンの仕組み
メリット・デメリット
料金相場
美容師が得られる報酬
集客方法

フリーランスとして活躍を考える美容師の方に、シェアサロン活用のリアルをお伝えします。
シェアサロンとは?


そもそもシェアサロンとは複数人でサロンを共同利用する仕組みです。
美容室におけるシェアサロンとは、美容室の1席を利用するというよりは、シェアする前提で作られているサロンです。
よって、固定されたスタッフはおらず、それぞれ自由なタイミングで入客し、好きなタイミングでサロンから離れることのできる仕組みになっています。
まさにフリーランス美容師としてスタートさせる場にふさわしいシステムです。
>>フリーランス美容師で手続きでは、個人事業主の開業届の書き方などを詳しく解説。
業務委託との違い
シェアサロンと業務委託の違いは集客と報酬です。



業務委託の場合、お店が集客したお客様をフリーランスの美容師達が担当することで、お店から40〜50%程度の歩合給が発生します。
シェアサロンの場合は美容師が集客をし、自ら担当することで、お店から80〜90%程度の歩合給が発生する仕組みです。
業務委託は一般的な美容室と相違がありませんが、シェアサロンだと1人で独立している美容室という認識をして頂けると分かりやすいかも思います。
>>美容師の業務委託とは|業務委託サロンはなくなる?で詳しく解説。
面貸しとの違い
シェアサロンと面貸しとはレンタルサロンとして同じ意味合いのようですが、その違いはサロンの仕組みにあります。
面貸しは既存の美容室の空席を利用させて頂く形です。
シェアサロンは、シェアする前提の美容室ですので、固定されたスタッフはいません。



そのため、面貸しよりも融通が効き、自身のスケジュールに合わせて予約を受け入れることが可能です。
>>美容師の面貸しとはで詳しく解説。
国内シェアサロンの市場規模


「シェアサロン」の市場規模について、現時点で確認できる最新データをご紹介します。
項目 | 内容 |
---|---|
市場規模 | 約350億円超(2025年時点) |
成長率 | 2023年に前年比 約35%増 |
背景 | フリーランス美容師の増加、初期投資抑制のニーズ、柔軟な働き方の広がり など |
業全体との比較 | 理美容業界全体は 1.5兆円超。シェアサロンはその中で成長著しいセグメント |
シェアサロン市場は350億円超
2025年時点で、日本のシェアサロン市場は 350億円超 と急成長しています 。
2023年度で前年比約35%増の成長市場になったのを境に、フリーランス美容師が拡大に寄与しているからです。
このように、日本における「シェアサロン単体」の明確な市場規模を示す公的な統計は非常に限られていますが、上述のデータからは 少なくとも数百億円規模で活況を呈していると見られます。
シェアサロン増加の背景
シェアサロン増加の背景には、以下の要因が見られます。
美容師やネイリストが自分の技術やブランドを活かし、組織に縛られずに働くことを選ぶケースが増えている。
店舗を構える際に必要な初期投資や毎月の固定費を大幅に抑えられるため、リスクを負わずに独立できる仕組みが支持されている。
子育てや副業との両立など、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働ける環境が整っている。
理美容業全体との比較
参考として、理美容業界全体の市場規模もご紹介します。
日本国内の美容師を含む理美容業界全体の市場規模は、約1.5兆円超とされています。
これに比べると、シェアサロン市場は理美容全体の中でまだ一部ですが、フリーランス美容師や新規開業支援の流れにより急速に拡大している状態です。
参考:PR TIMES
シェアサロン料金相場 & 美容師報酬一覧
「シェアサロンの料金相場」と「美容師の報酬(還元率・収入モデル)」を以下の一覧表にまとめました。
あくまで目安となる基準値ですので参考にご覧ください。
利用プラン | 料金相場・費用感 | 美容師の報酬(還元率) | 月収シミュレーション例 | 備考 |
---|---|---|---|---|
月額固定プラン | 5〜20万円/月 (東京都心では20〜30万円) | 売上の70〜90% (高歩合) | 売上100万円 → 手取り70〜90万円 (年収840〜1080万円) | 席を専有利用でき安定稼働向き |
月額+歩合プラン | 月額3〜8万円+売上の20〜25% | 売上の70〜80% | 売上100万円 → 手取り60〜75万円 | 初期費用を抑えて利用可 |
時間貸し(スポット) | 30分700〜1,100円 1時間1,500円前後 | 歩合制の場合は 売上の70〜80%が還元 | 1日5時間×20日稼働=月30万円前後(売上規模次第) | 柔軟に働きたい人向け |
業務委託サロン比較 | 固定費不要 (売上歩合40〜55%) | 売上の40〜55% | 売上100万円 → 手取り40〜55万円 | シェアサロンの方が高収入を狙いやすい |
一般美容師(会社員) | 月給20〜25万円程度 (平均年収約300万円前後) | 固定給制 | 月収20〜25万円 | 安定はあるが収入上限は低め |
シェアサロン開業で必要なもの


シェアサロン開業で必要になるものはいくつかあります。
下記に詳しくまとめさせて頂きます。
- 開業届→事業を始めるうえで、どのような事業を始めるのか届け出る必要があります。
- 診断書→結核、皮膚疾患等の感染症にかかっていないと証明するものです。
- 美容師免許→美容師を仕事とする場合は、どのような形態であれ、必ず必要になります。
- 美容道具(シザーやコーム、ダッカール等)→シェアサロンでは共有物として用意してくれているものもありますが、専有して使いたいものは用意しましょう。
- 美容材料(パーマ液、カラー剤等)→こちらシェアサロンで用意されている場合が多いですが、割高になる場合もあるので、自身で用意するのが賢明です。
これら以外にも必要なものも出てくるかと思いますので、余裕を持った確認と準備をしていきましょう。
個人事業主としての準備について>>【フリーランス美容師】開業届出さないとどうなるで、詳しく解説しています。
シェアサロンのメリット・デメリットとは
メリット | デメリット |
---|---|
リスクの低減 | 従業員との違い |
縛りが少ない | 収入が不安定になる |
シェアサロンとはどのようなものなのかご理解頂けたかと思います。
より理解を深めるために、次項ではシェアサロンのメリットデメリットをご紹介致します。



それぞれ、様々な要因がありますので、詳しく見ていきましょう。
>>フリーランス美容師のデメリットでも詳しく解説しています。
メリット1.リスクの低減
シェアサロンのメリット1つ目は「リスクの低減」です。
リスクの低減とは、開業費用を節約できるという点になります。
一般的に美容室の独立開業資金は1200万円程かかると言われているのです。
最初から高額な費用を用意できる美容師は少なく、借入をするパターンが多くなります。



そうすると、借入の返済に追われることとなり、競争率の高い美容院という業種で勝ち抜くためにはかなり厳しくなってしまうのです。
しかし、シェアサロンであれば、不動産取得費や内装費、ランニングコストとしての家賃や光熱費等を削減できるので、借入をせずに開業ができます。
特に、スタッフを雇わずに1人で独立を考えている方であれば最適です。
失敗を恐れることなくチャレンジできるのが最大の魅力です。
メリット2.縛りが少ない
シェアサロンのメリット2つ目は「縛りが少ない」ことです。
一般的な美容室であれば、定時が決まっていて、出社時間も退勤時間も自分でコントロールすることは難しいでしょう。
しかしシェアサロンであれば、自身の予約が入っている時間だけ働けば良いので、それ以外の時間に拘束されるということはありません。



また、シェアサロンを複数契約すれば、場所にも縛られずに働くことも可能です。
この要因から、自身の好きなペースで働くことを望む方はシェアサロンが良いでしょう。
デメリット1.従業員との違い
シェアサロンのデメリット1つ目は「従業員との違い」です。
シェアサロンでは、従業員時代は気にしなくてよかった部分も気にしなくてはなりません。
集客では、お店が集客してくれていたものが全て自分の集客力にかかってきます。
材料等の仕入れでは、好き放題に薬剤を使うということは自分の利益を減らすことにも繋がってしまいます。



また、給料面においては自分で経理をし、収入と支出を管理しなければいけないのです。
このように、従業員として雇用されていると気づかない苦労がシェアサロンにはあるでしょう。
>>シェアサロンでトラブルでは、契約書に注意すべき理由について解説。
デメリット2.収入が不安定になる
シェアサロンのデメリット2つ目は「収入が不安定になる」ことです。
なぜ、収入が不安定になってしまうのか、要因は2つあります。
- 従業員と違い、固定給が存在しないため
- お客様の集客を自分でしなくてはいけないため
この2つです。
従業員であれば、固定給+歩合給を支給される美容室がほとんどですので、ある程度の収入は補償されます。
しかし、シェアサロンでは固定給は存在しませんので、完全歩合給となり、収入は不安定になりやすいです。
また、お客様も既存のお客様がメインになりますので、新規のお客様を取り込める集客力がなければ、売上は頭打ちになり、既存のお客様が離れてしまえば、収入は落ちていってしまうでしょう。
人気のあるシェアサロン3選とは
シェアサロンの概要がお分かり頂けたところで、人気のあるシェアサロンを3つほどご紹介させて頂きます。
どのシェアサロンが良いのかお悩みの方は、是非ご参考にして頂ければ幸いです。
株式会社GO TODAY SHAiRE SALON(ゴートゥデイシェアサロン)
GO TODAY SHAiRE SALONは、売上還元率が最大95%と高還元のシェアサロンです。
また全店舗駅から徒歩5分の好立地、個室空間が魅力的になります。
プランも豊富で、月額1万円〜利用することが可能になります。
>>フランチャイズ美容室を一覧で比較では、独立して経営・サロンオーナーは儲かる?について解説!
株式会社Qnoir(クノア)
Qnoirは、美容師だけでなく、アイリスト(つけまつ毛)、ネイリスト(ネイル)、エステティシャン、整体師、鍼灸師、セラピスト、フィットネストレーナー、カウンセラーなど、美と健康の多様なプロが集まる日本初の複合型シェアサロンです。
様々なジャンルの職業が一カ所に集まっているため、競合がつきづらく、集客も有利に行えるのが魅力的になります。
また、自身の得意なジャンル以外にも学びを得られますので、自身のスキルアップを図りたい方にもおすすめです。



美容師のみならず、様々なサービスをお客様に体験してもらいたいという方は株式会社Qnoirが良いかと思います。
>>【美容室開業届】税務署や保健所に届出申請では、美容室の開業までの流れや登録関係についてご紹介しています。
株式会社C’s offer(シーズオファー)
C’s offerは、エステティックサロンで使用していた内装や設備をそのまま使えるシェアサロンです。
エステ施術に特化したシェアサロンで、1時間あたり1600円〜利用が可能になります。
- エステベッド
- バストマット
- フェイスマクラ
- 半円マクラ
- スチーマー
- 精製水
- タオルウォーマー
- 全身鏡
- ドライヤー
- エステワゴン
- 空気清浄機
- お茶セット
- ドレッサー
- 体脂肪計
これらが無料で利用できるため、自分で用意する設備も最低限で済むことが魅力的です。
エステに特化して、シェアサロンを利用したい方は、株式会社シーズオファーがおすすめになります。
シェアサロン以外の求人をお探しの方は「JOBVR」
「良い条件で働ける環境を求めている」
このような方にJOBVRはおすすめです。
JOBVRがなぜ美容室を探している方におすすめなのかはいくつか要因があります。
- 他の求人サイトとは異なり、美容室オーナーと美容師のマッチングアプリになっている為、敷居が低い
- 短時間・短期間でも雇用してもらえるため、雰囲気を見てから本採用してもらえる
- 美容師も美容室オーナーも無料で利用できるため、良い条件の求人が並びやすい
このようなメリットがあります。
美容室の求人を探している方は、1度JOBVRを確認してみましょう。
\ ダウンロードはこちら /
まとめ
シェアサロンは、フリーランス美容師やネイリストにとって低リスクで独立できる新しい働き方として急速に広がっています。
メリットは、初期費用・固定費を抑えられる、報酬還元率が高い(70〜90%)、ライフスタイルに合わせて柔軟に働ける点。
デメリットでは、集客や経営を自分で行う必要がある、安定収入が得にくい場合がある、という面も。
料金相場は月額固定5〜20万円、あるいは月額+売上歩合、時間貸しなど多様で、自分の働き方に合わせて選択可能です。
売上次第では年収700〜900万円以上を目指せるケースもあり、従来の業務委託サロンや正社員と比較して高収入が期待できます。
これから独立を考える美容師にとって、シェアサロンは大きなチャンスとなる選択肢です。
自分の理想の働き方や集客力を踏まえ、最適なプランを選ぶことが成功への第一歩となるでしょう。