美容国保と社会保険・国民健康保険|フリーランス・個人事業主美容師の保険

「美容国保と社会保険の違いって何?」
「美容師で個人事業主やフリーランスだと入れる保険は何?」
「協会けんぽや理美けんぽの加入と比較するとどう?」
美容師の健康保険について疑問をお持ちの方に向け、「美容国保のメリット・デメリット」について、下記の内容を解説していきます。
- 美容国保の保険料
- メリット・デメリット
- 保険給付金一覧
- 国民健康保険や社会保険との違い
結論、美容国保にはフリーランス美容師でも加入でき、保険料が一律というメリットがあります。
一方で、収入や扶養状況によっては国民健康保険の方が安くなる点がデメリットとして挙げられるでしょう。
また、社会保険(健康保険)は企業に従事する者を対象としている保険制度ですが、美容師では会社員として雇用されている場合でも「社会保険なし」のサロンも少なくありません。
社会保険なしの場合は国民健康保険の加入手続きが必要です。
将来の万が一に備えて、今から健康保険について詳しく知っておきましょう。
>>美容師社会保険なしでも、年金・健康保険やフリーランス美容師の社保加入種類について詳しく解説しています。

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美容国保はフリーランス美容師も対象の健康保険

東京美容国民健康保険組合とは、「美容国保」とも呼ばれる個人事業主やフリーランス美容師も対象の健康保険です。
- 東京都内の事業所で美容の業務に従事している
- 東京都(島しょを除く)・ 神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・山梨県の区域に居住している
上記を満たした人が対象で、その世帯に属する同一世帯家族も加入することができます。
個人事業主・フリーランス美容師が加入できる健康保険
個人事業主・フリーランスの美容師が加入できる健康保険は以下のとおりです。
健康保険の種類 | 保険料 | 加入条件 |
東京美容国民健康保険組合 | 詳細はこちら | 東京または 周辺の県在住 |
国民健康保険 | 前年の収入で算出 | 社会保険未加入者 |
社会保険任意継続 | 半額 会社負担 ↓ 全額 自己負担 | 退職後2年間任意継続可退職後20日以内に要手続 |
家族の 社会保険扶養 | 本人 負担なし | 被扶養者 年収130万円未満 被保険者年収の半分未満 |
退職して東京都内や近辺で開業する場合は美容国保に加入ができます。
他の地域などは、
- 国民健康保険に加入
- 社会保険の任意継続
- 家族の社会保険の扶養に加入
などを選択します。

それぞれの健康保険について確認しておきましょう。
東京美容国民健康保険組合(美容国保)
美容室などで働いている美容師は、一定の条件を満たせば東京美容国民健康保険(美容国保)に加入することができます。
フリーランスや個人事業主でも加入OK。
美容国保は保険料が一律で多くの手当金があり、家族を扶養に入れることもできます。
注意点としては、収入によっては国保よりも保険料が高額になる場合があるということです。
保険料については後程紹介します。
一方で、理容師・美容師が加入できる「理美容健康保険組合」の以下2つにおいては、フリーランスだと加入対象外となっています。
組合の種類 | 対象者 |
全日本理美容健康保険組合 | 全国美容関連業全般の法人 |
大阪府整容国民健康保険組合 | 大阪府事業所で理美容業務従事者 |



会社に雇われていれば当たり前のように加入している社会保険も、個人で独立する場合には保険について不安がつきもの。
国民健康保険
企業などの社会保険に加入していない人は国民健康保険に加入することができます。
フリーランスや個人事業主の美容師も対象です。
国民健康保険は、
- 市町村国保
- 職域国保
に分けられています。
- 市町村国保
-
都道府県や市区町村が保険者となる国民健康保険
- 職域保険
-
地域の同業者が設立した国民健康保険組合が保険者となる国民健康保険
国民健康保険の保険料は前年の収入で決まります。
収入が多ければ多いほど保険料が高額になりますが、保険者の自治体によって料率は異なります。



美容師の入れる美容国保は職域保険です。
社会保険任意継続
社会保険のあるサロンをやめて個人事業主やフリーランスになった場合、退職後2年間は職場で加入していた健康保険組合を任意継続することができます。
任意継続の条件
- 退職日までに2か月以上加入していること
- 退職日の翌日から20日以内に手続きを行うこと
手続きは各都道府県の協会けんぽ・各健康保険組合で受け付けています。
任意継続になると保険料を全額自己負担する必要があります。
社会保険の場合、事業主が半分を負担しているるので、原則それまでの2倍の保険料になります。



保険料には上限が定められているので、30万円を超えることはありません。
国民健康保険の料率によっては、任意継続のほうが保険料が安い可能性があります。
両方の保険料を比較してどちらに加入するか検討しましょう。
家族の社会保険の扶養
家族の社会保険の扶養に入ることも選択肢の一つです。
配偶者や親の加入している社会保険の被扶養者として加入することができます。
被扶養者の条件
- 年間収入が130万円未満
- 被保険者の年間収入の半分未満
上記の両方を満たしている必要があります。
被扶養者となる範囲は以下を参考にして下さい。
1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
※これらの方は、必ずしも同居している必要はありません。
2.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
※「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。
① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子
※ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除きます。



三親等以内の家族が対象ですね。
美容国保の保険料
美容国保の保険料は以下の表を参考にしてください。


美容国保の保険料は、一律であるのが特徴。
40歳未満の美容従事者の美容国保の保険料は、従業員が13,500円・事業主は19,000円です。
40歳以上は介護保険の保険料も納付する必要があるので、保険料が上がることは認識しておきましょう。
美容国保には家族を扶養に入れることも可能で、家族の保険料は組合員がまとめて払います。
同一世帯の扶養家族は8,500円、未就学児は5,000円の保険料になります。
国民健康保険は扶養という概念がないので、家族もそれぞれ保険料を納付する必要があります。
家族を扶養に入れたいなら、美容国保も選択肢として考えましょう。



入院手当や出産手当が支給されます。
美容国保のメリット・デメリット


ここで、美容国保に加入する上での知っておきたいメリット・デメリットを比較していきます。
メリット | デメリット |
フリーランスでも加入可能 保険料が一律 給付金の充実 家族を扶養に入れることができる | 収入・扶養状況で保険料が高くなる可能性 |



切り替えを検討している方は、デメリットが当てはまるのか確認して、判断基準にしてみてくださいね。
メリットは保険料一律や様々な給付
メリット
- フリーランスでも加入できる
- 保険料が一律
- 入院手当や出産育児一時金が支給される
- 家族を扶養に入れることができる
前述でもお伝えしているとおりフリーランスでも加入できる点や、保険料が一律であることがメリットとしてあげられます。
国保にはない「入院手当金」や「出産育児一時金」などを受給することができます。
保険給付金の面が充実している点でも、国民健康保険よりも美容国保のほうがメリットがあります。



保険給付金の内容について詳しくは、次の段落でご紹介していきます。
デメリットは国民健康保険のほうが安い場合があること
デメリットとしては、収入や扶養状況によっては国民健康保険の方が安く済む場合もある点です。
国民健康保険料の詳細については、自治体によって異なるのため、住民票のある市区町村のホームページで確認することをお勧めします。
美容国保の保険給付金一覧


美容国保(東京美容国民健康保険組合)の加入者が受け取れる保険給付金は、以下の一覧表の内容となります。
その場合、組合への申請が必要です。
給付金の種類 | 内容 |
療養費 高額療養費 | 医療費の自己負担額を補填 |
出産育児一時金 | 出産費用の差額を支給 |
出産手当金 | 被保険者の出産時に現金給付 |
入院手当金 | 被保険者の入院時に現金給付 |
葬祭費 | 被保険者の死亡時に現金給付 |
療養費・高額療養費
保険診療が受けられなかった場合や、治療・入院等による医療費、保険診療による医療費が高額になった場合などでは、自己負担の一部が補填される仕組みです。
ただし、差額ベッド料や保険診療外の費用は、支給対象外となります。
出産育児一時金
被保険者の出産時、一児につき50万円の支給が受けらます。
直接支払制度の例


出産手当金
被保険者の出産時、以下の出産手当金が支給されます。


入院手当金
被保険者の入院時、以下の入院手当金が支給されます。


葬祭費
被保険者の死亡時は、葬祭を行なった方に対して以下の葬祭費が支給されます。


国民健康保険との違いは保険料の算定方法・給付


美容国保と国民健康保険の違いは、保険料の算定方法と給付です。
美容国保の保険料は一律なのに対して、国民健康保険では前年度の所得に応じて決まります。
給付の面での違いは、美容国保には以下のような助成制度がありますが、国民健康保険にはありません。
- 出産手当金
- 入院手当金
国民健康保険の保険料が前年の収入で決まり、収入が高くなるにつれ保険料も高額になるのが特徴。
ただし、保険者となる自治体により料率が異なるのため、住民票のある市区町村ホームページで計算方法を確認してみましょう。



その反面、設定されている上限額を上回るほどの高所得者であれば、保険料の負担が所得に対して軽くなるという特徴も挙げられます。
社会保険との違いは加入資格や年金制度


「美容国保」と「社会保険」の違いについて疑問を持つ方も多いです。
このように、社会保険とは5つの公的保険制度を総称したものですが、その中の健康保険と美容国保との違いを確認しておきましょう。



美容国保は国民健康保険の職域保険です。
美容国保(東京美容国民健康保険組合)とは、東京都内・近郊の美容事業所・従事者とその家族を加入対象とした「健康保険」のことを指します。
社会保険の健康保険は、企業に勤めている会社員や条件を満たした短時間労働者が加入対象です。
一方で、自営業者や年金受給者は「国民健康保険」に加入します。市町村が保険者の国民健康保険は収入によって保険料が異なります。
厚生年金と国民年金の違い
一般的に企業で社会保険に加入すると同時に厚生年金にも加入します。
国民健康保険の加入者は、国民年金の険の加入者は、国民年金の保険料も別に納付する必要があります。
国民年金の加入者は職業によっては基金があるケースもあります。
将来受給できる年金額を増やしたい場合は、基金への加入も検討すると良いでしょう。
国民年金:20歳〜60歳までのすべての人が加入
厚生年金:会社員・公務員が勤務先を通じて加入
国民健康保険に加入する手続き
フリーランスや個人事業主の美容師が美容国保に加入しない場合は、国民健康保険への加入手続きが必要です。
必要な書類や期限などを確認しておきましょう。
ここからは、国民健康保険への加入手続きについて解説していきます。
- 手続きの期限
- 必要な書類
手続きの期限
社会保険から国民健康保険に切り替える際には、退職から14日以内に市町村の役所の窓口で手続きを行う必要があります。
任意継続をしていた場合も期間満了から14日以内に手続きを行いましょう。
必要な書類
必要な書類は以下の2つです。
- 資格喪失日がわかる書類
- 本人確認ができる書類
資格喪失日がわかる書類
- 健康保険資格喪失証明書
- 退職証明書
- 雇用保険被保険者離職票
上記のうちどれか一つ準備しましょう。
健康保険資格喪失証明書は社会保険事務所で発行してもらえます。
前の職場を退職する手続きの際に発行してもらいましょう。
本人確認できる書類
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- パスポート
- 在留カード
こちらもいずれか一つでOKです。
同居している家族の中に国民健康保険にすでに加入している人がいる場合は、世帯主の保険証やマイナンバーが確認できる書類も準備しましょう。



国民健康保険に加入するか、美容国保に加入するか、保険料の負担を少なくできるほうを選びたいですね。
社会保険に加入していて扶養家族がいた場合、健康保険資格証明書や扶養削除証明書を発行してもらう必要があります。
扶養削除証明書は被扶養者の資格喪失を証明する書類です。
退職手続きの際に忘れずに発行してもらいましょう。
まとめ
今回は美容師を対象とした国民健康保険、美容国保について解説しました。
美容国保のメリットデメリットは以下になります。
メリット
フリーランス美容師でも加入でき、保険料が一律、充実の給付金制度
デメリット
収入や扶養状況によっては国民健康保険の方が安い
一方で、社会保険とは雇用される場合に適用される保険制度であって、「健康保険」の他にも「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」を含む総称です。
退職すると社会保険の健康保険に加入していられなくなるので、
- 国民健康保険に加入
- 社会保険の任意継続
- 家族の社会保険の扶養に入る
- 美容国保に加入
いずれかの手続きが必要です。
フリーランスや個人事業主の美容師でも加入でき、様々な保険給付金が受けられる美容国保。
国民健康保険の保険料との違いや給付内容を比較検討して、自分にとって適した健康保険を選択しましょう。
将来の備えを万全にするための正しい選択をしてくださいね。