美容室開業の流れと手順|手続きや資金・経営に必要な準備について解説!
「美容室を開くにはどうしたらいい?」
「美容師が起業する際に必要な費用はどのくらい?」
「美容室を個人経営して本当に儲かるの?」
このように、美容室の開業について考えている方に向けて、本記事では「美容室の独立開業」に関する以下の内容をまとめてあります。
- 美容室開業の流れ・手順
- サロン開業に必要な資格
- メリット・デメリット
- 注意点
- 独立の年齢やタイミング
- 開業費用と収入
結論、美容室を開業するには「準備が大切」です。
資金面で言えば、1人で美容室を開業するとしても1,000万円程必要となります。
そのため自己資金では200~500万円ほど用意しておく必要があるでしょう。
このように美容室を始めるには、知っておくべきことがたくさんあります。
それらに必要な手続き等の流れや、必要なこと、資金などについて詳しく見ていきます。
役立つ情報をたくさん公開しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人
ナチュラルな大人可愛いから今時の可愛いまで、お客様に合わせたヘアデザインをご提案させて頂きます。
メンズ似合わせカットや、透明感カラーが得意です。またアイリストのディプロマ取得済み。現在は転職エージェントとしてサイト運営中。
美容室開業の流れ・手順
美容室開業の仕方は以下のような流れになります。
開業手順
- 事前準備
- 開業費用
- 物件探し
- 店舗設計・施工業者を決める
- 保健所に届出
- オープン準備
- 集客
事前準備
まず美容室開業でやることとして、以下の内容を決めます。
- サロンのコンセプト
- 店舗のデザイン
- ターゲット層
- 収入や必要な費用
あらかじめ具体的なイメージをまとめておくことが重要でしょう。
それは、より理想のサロンを実現するためです。
また、この時点で「開業費用」「自己資金」「金融機関で受けられる融資額」といった資金計画を立てておきます。
開業費用
開業費用に必要なものや具体的な金額は以下のとおりです。
費用の種類 | 金額 |
テナント取得費用 | 50〜100万円 |
内装工事費用 | 400〜700万円 |
理美容器具機材 | 100〜200万円 |
消耗品・備品 | 20〜50万円 |
その他 | 20万円 |
このように、小さなサロンを開くにも1,000万円前後の資金が必要となります。
そのため、自己資金で必要となる貯金額の目安は200〜500万円、残りは「日本政策金融公庫」からの借入れるのが一般的です。
融資と言えば、銀行や信用金庫などが思いつきますが、これまでの実績や信用がほぼない開業時では、
銀行・信金での融資審査を通過することは難しいのが現状。
日本政策金融公庫
国が100%出資した政府系金融機関。
地域の身近な金融機関として、創業者や小規模事業者に向けた事業資金の融資を行う。
そのため、創業時でも審査に通りやすいのが特徴で、理容室や美容室の開業時は、「日本政策金融公庫」で借りられる方がほとんどです。
無担保無保証で融資を受けられます。
借入手順
- 窓口で相談
- 事業計画書の作成
- 申し込み手続き
- 借入審査
物件探し
美容室開業でやることとして欠かせないテナント探し。
美容室を成功させるには、物件選びはとても重要。それは集客に大きく影響してくるから。
また、開業後の運転資金として大きく影響を及ぼします。
そのため、希望エリアでテナント料の相場を把握できるよう、事前にネットでリサーチしておくことも必要です。
物件探しの手順
- 立地条件を考える
- テナント情報収集
- 地域を散策
- 周辺環境のリサーチ
- 不動産に相談
- 契約
物件の広さ・希望エリア・客層・家賃などについて具体的にリストアップすることがポイント!
例えば、サロンの規模やスタッフの人数によって適正な広さは以下のとおりです。
規模 | スタッフの人数 | 坪数 |
小型サロン | 1〜3名 | 10〜15 坪 |
中型サロン | 4〜8名 | 20〜30 坪 |
大型サロン | 8名以上 | 30坪以上 |
店舗設計・施工業者を決める
ここまできたら、いよいよサロンの準備も本格的にスタートする段階、「店舗設計・施工業者」を決めます。
店舗設計・施工業者
- 美容器具・商材メーカー
- 店舗設計事務所
- 工務店
- 理美容室専門工事会社
自分の価値観に合った業者を探すことがポイント!
店舗内装業者を決めるタイミングは、テナント契約1ヶ月前までを目安としましょう。
なぜなら、依頼を受けたデザイン・施工会社は、各業者手配や商品取り寄せなどを進めていき、その中で時間がかかるものもあるためです。
保健所に届出
オープン前には、保健所へ美容室開業届の提出が必要です。
保健所の検査期間は、営業開始の一週間前までです。
工事完了後すぐに検査を受けられるよう、事前に保健所に相談しておきましょう。
理美容室の保健所への申請・手続きは以下の流れです。
保健所への申請手順
- 事前相談
- 開設届の提出
- 立入検査の実施
- 承認・開業
問題なければ、2〜3日程度で営業許可をもらえるのが一般的です。
また、開業届の提出時に必要なものは以下の内容です。
提出時に必要なもの
- 開設届
- 施設の平面図
- 理美容師免許
- 医師による健康診断書
- 検査手数料
オープン準備
オープン準備には、大きく分けて3つのタイミングで進めていくべきものがあります。
- テナント契約後
- 工事開始時
- 工事完了時
必要な手続きや手配の具体的な内容は以下のとおりです。
テナント契約後 | 工事開始時 | 工事完了時 |
電気 水道 ガス インターネット 電話 BGM・映像 | 大型機器 パーマ・カラー用品 その他消耗品 インテリア 小物 | 備品搬入・設置 不足品チェック レセプション実施 |
テナントを借りてから、まずやっておきたいのがインフラ整備です。
その後、工事がはじまってからはシャンプー台などの大型機材や、パーマ・カラーなどに使う消耗品とあわせて、インテリア家具や小物など、店舗に必要となるものを揃えます。
工事完了後には、備品の搬入・設置を済ませて、不備などが起こらないよう、知人などを招待してレセプションの実施をすることもオススメします。
集客
ようやくお店が完成したら、実際にお客様に来てもらえるよう集客しなければなりません。
集客方法は事業計画として、事前に用意しておくことが大切。
主な集客方法は大きく2つに分けられます。
集客方法 | 内容 |
インターネット | 広告 SNS ホームページ |
アナログ | 張り紙 フライヤー ポスティング |
新規顧客を拡大していくのと同時に、既存顧客にも引き続き来てもらえるように、公式LINEなどのアカウントをつくって、お客様との連絡が継続的に取れるようにする必要があります。
美容師の独立開業に必要な資格
美容院を開業するには必要な資格、美容師免許と管理美容師免許の2つがあります。
美容師免許はお客様に美容施術をする上では、必ず必要になります。
また管理美容師免許はスタッフを雇用する場合に必要となる資格です。
どちらも年単位で時間のかかる資格になります。
美容師免許の紛失や名前変更による再交付に関しては>>美容師免許再発行をご覧ください。
独立してサロン開業するメリット・デメリット
美容師が独立するには、以下のメリット・デメリットが挙げられます。
メリット | デメリット |
年収が上がる可能性 理想のサロンが手に入る 自由な労働時間 | 失敗・廃業のリスク 収入に限界がある |
美容室を独立開業するメリット
美容室を独立開業するメリットは、年収が上がる可能性があるということです。
雇用されている美容師は、固定給や歩合給の場合が一般的。
歩合給の場合でも、良くても会社と売上を折半という報酬になるでしょう。
しかし、独立し利益が出れば100%自身の利益にすることができます。
したがって、独立前の客数、客単価をキープ出来るようであれば年収を上げることができます。
他にも、自分の思い描く理想のお店が作れるため、内装からサービス内容までを全て自由に一から創り上げることが出来ます。
稼働時間や休日に関しても、自分で設定できるため、自由な働き方が実現できるのが最大の魅力と言えるでしょう。
美容室を独立開業するデメリット
美容室を独立開業するデメリットは失敗するリスクがあるということ。
雇用されている間に、どんなに良い結果を出せていたとしても、独立後に上手くいかない事というのは、あるあるの話です。
例えば、集客が難しくお客様が来ない、キャンセルが売上の影響に大きい、など。
店をたたむことにならないよう「潰れる前兆」を見逃さずに、対策をとることがとても重要となってきます。
自身の売上だけを気にしていれば良かった立場から、お店全体の売上や諸経費、他にもスタッフがいるなら売上管理等の様々な所に目を配らなければならない立場になります。
独立するということは、美容師としての技術だけを高めるだけでは、良い結果は出ない場合が多いかと思います。
集客対策などの事業計画が不十分であると、このようなリスクが避けられなくなってしまいます。
また、1人で経営する場合には、施術できる顧客数に限りがあるため売上や収入に限界があるとも考えられます。
開業の失敗について詳しくは>>美容室の独立開業でよくある失敗も参考にご覧ください。
美容室開業の注意点
次に、美容室やサロンを開業する際の注意点3つをみていきましょう。
注意点
- 計画不足
- 資金不足
- 立地・物件調査不足
計画不足
美容室開業においての注意点1つ目は、計画不足です。
その場合は、失敗するリスクが高まります。
なぜなら、何か不測の事態が起こった時に対処のしようがないからです。
例えば、事業計画書を作成しないで、感覚頼りに開業してしまうケースなどがあるでしょう。
対策としては、事業計画書をしっかりと作成しておくことです。
行き当たりばったりの経営になって、集客やリピート客を増やすことができず、最終的には閉店となってしまう恐れがあります。
また、1人で開業して資金を抑えることができても、病気やけがで売上が立たなくなると途端に失敗してしまうリスクもあります。
美容室開業は、とにかく綿密な計画を立てることがとても重要!
資金不足
美容室開業においての注意点2つ目は、資金不足です。
ギリギリの運転資金でも、なんとかやっていけるだろうと走り出してしまうのは非常に危険です。
なぜなら、初期費用の配分を間違えてしまうと、開業後の赤字状態から抜け出すことが困難となるからです。
その後、お店の存続は厳しく、借金だけが残るというケースに。
対策としては、初期費用・運営費用の配分を十分に検討し、運転資金に余裕をもたせておくことです。
運転資金は3か月〜5か月程度を目安にしましょう!
立地・物件調査不足
美容室開業での注意点3つ目は、立地・物件調査不足です。
理由は、周辺環境は集客に大きく影響してしまうからです。
例えば、居抜き物件は初期費用が安く済むことがメリットですが、安いのを理由に手を出すことで、思いもよらぬ失敗につながりかねません。
失敗例
- 前のサロンの評判が悪い
- 既存の内装を買う費用が高い(造作譲渡費)
- 内装、レイアウトの融通が利きにくい
- 既存の設備が古すぎる
- 給排水が詰まりやすい
- 立地が悪すぎて人が寄りつかない
この場合の対策は、専門家のサポートを受けることです。
お金で解決できる問題か、そもそも美容室開業が無理な物件なのかを相談しましょう!
美容師独立は何歳から
美容師が独立する年齢は、何歳からが良いという明確なものはありません。
美容師として1番売上のある20代〜30代の頃に独立する方もいれば、人望のある40〜50代で独立する方もいます。
また定年まで働き、趣味の一環として自宅サロンのように経営される方もいます。
ただ、体が資本となる職業であるということは間違いありません。
こちらを考慮すると、独立初期は過酷な期間になることも少なくないので、若い方がそれに耐えうる体力は持ち合わせているかと思います。
このように人それぞれ人生設計が異なりますが、最短で独立するとなれば3年。
一通り技術と知識を得て経験できる年数。何歳までに何をやると言った明確なプロセスを決めておくことが重要です。
独立するのにおすすめのタイミング
美容師が独立や開業するべきタイミングは、以下のようなときです。
- 美容師を志すのと同時
- 美容師として自由な働き方をしたい
- 自己資金を目標額まで貯めた
- イメージに近い物件と出会った
- ライフステージに変化が訪れた
- 10年程度の勤務実績がある
- 指名してくれる顧客が一定数ついた
- 美容師として経験・スキルに自信がついた
はじめから独立・開業を視野に入れて美容師を志す方もいれば、仕事をするうちに漠然と独立を目標にしていくパターンもあったりと様々でしょう。
いずれにしても、集客や事業計画などに対する事前の準備がある程度ととのった時点がいいタイミングと言えるでしょう。
なぜなら、前述したとおり失敗するリスクを軽減させるためです。
また、美容師が独立して働く方法は主に、次の2通りあります。
- サロン開業して美容室オーナーになる
- フリーランス美容師になる
フリーランス美容師についての詳細は>>美容師・個人事業主の税金で解説していますので参考にご覧ください。
美容師独立までに経験しておきたいこと
美容師独立までに経験しておきたいことは、雇用されている店舗の分析をすることです。
現在雇用されている美容室の利益率、それに伴う人件費等の諸経費はいくらか、テナントはいくらか等、このあたりを分析し、把握しておくことが重要になります。
現在雇用されている美容室と独立後の自身の店舗は、比較対象にもでき、参考値にもなりますので、予め調べておきましょう。
美容室開業の費用
美容室開業の費用は下記のようなものに使われます。
- 美容室物件の取得費用
- 内装工事費用
- 美容器具
- 材料費
- 広告宣伝費
- 運転資金
このような項目があります。
費用の上限値はありませんが、下限値は500万円程です。
地方での1人美容室での独立開業であれば、500万円程で独立出来る場合があります。
美容室の開業費用「設備資金」
設備資金は下記のようなものに使われます。
- テナント費…20〜40万円
- 内装工事費…200〜400万
- 美容器具(カット椅子、ウォールミラー、ドライヤー等)…1つ数10万円〜数1,000円まで様々
このように内装工事にかなりの高額費用がかかり、次にテナント費と続きます。
これらを見るといかに物件選びが重要かがお分かり頂けるかと思います。
美容室の開業費用「運転資金」
美容室の開業費用は設備資金だけではありません。
営業していく上で、運転資金も必要になります。
運転資金は以下のようなものに使われます。
- 保険代…年間1万円前後
- 集客ツール代…売上に対して10〜15%前後
- 備品・材料代…売上に対して10%前後
美容室は他業種よりも、集客ツール等の広告宣伝費に多額の資金が必要なケースがありますので、充分な運転資金を見積もっておくことが重要です。
美容室の収入
結論美容室の収入は人それぞれです。
独立すれば、利益を100%享受できる一方で、お客様を確保しなければ、従業員時代よりも年収は下がってしまうこともあります。
あくまでも、客数×客単価が売上になり、諸経費の削減が出来れば、それ相応の収入を獲得できることに。
一般的には、サロン経営にかかるコストの内訳は以下の内容とされています。
- テナント料:10%
- 材料費:10%
- 販促費:10%
- 雑費:15%
- 人件費:35%
- オーナーの収入:20%
例えば、月の売上が100万円の場合だとすれば、月収は20万円。
従業員がいない場合は、人件費がかからないため55万円となります。
仮に年収1000万が目標であれば、単純計算で月収84万円、月の売上が155万円を目指す必要があります。
1人・夫婦経営や雇用した場合など、ケース別に年収についてシュミレーションできる
>>美容師独立後の年収はどのくらい?も併せてご覧ください。
内部リンクを設置
美容室開業の収入アップの秘訣
美容室開業の収入アップの秘訣は2つあります。
- 美容師としてのスキル
- 経営していくスキル
この2つです。
美容師としてのスキルは、美容施術の技術レベルの向上や接客サービスの向上が挙げられます。
経営していくスキルには、経費削減や集客力の向上、人材確保等が挙げられます。
どちらにも必要なのが、日々業務での改善点を洗い出し、解決していく力が必要です。
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まとめ
今回は、美容室開業の流れについてまとめました。
開業するためには、事前の準備がたくさん必要です。
それは、資金面や事業計画など、経営に関する必要な備えがリスクを最小限に抑えられるためです。
将来独立を考えている美容師の方はぜひ参考にしてみてください。
最後までご覧頂きありがとうございました。