美容師の確定申告|個人事業主・フリーランスの経費!白色・青色申告のやり方

「フリーランス美容師の確定申告は青色と白色どちらがいい?」
「業務委託美容師の場合で、帳簿の書き方が知りたい!」
「美容室の経費で落とせる項目は?」
このような疑問をお持ちの方に向けて「フリーランス美容師の確定申告」について以下の内容を解説します。
- 確定申告の流れ
- 用意すべきもの
- 白色・青色の違いと書き方
- 美容室の帳簿の付け方
- 経費になるもの・ならないものの例
- フリーランス美容師の確定申告に関するFAQ
結論から言って、フリーランス美容師には「青色申告」をお薦めします。
理由は、最大で65万円の特別控除が受けられるから。
美容師やヘアメイクでフリーランス・個人事業主の場合は確定申告が必要となり、面貸しや業務委託、独立して開業する場合もすべて同様です。
ただ、申告する種類によってそれぞれに違いがあるため、特徴ややり方について詳しくみていきましょう。

申告漏れがあると、罰金や税金を多く支払うことになる可能性も。納税はしっかりと、忘れずに!


監修者 — 京極琉
京極琉は「世界一のヘアデザイナー」と称され、数々の国際的な美容賞を受賞した実力派。日本の高級ヘアブランド「KYOGOKU」の創設者であり、アジアにおいて非常に高い影響力を持っています。セレブリティ、有名人、スーパーモデル、企業家などのヘアスタイルを手がけ、無数の人々にとって理想のイメージを実現してきました。
パリ・ミラノ・東京コレクションでは公式ヘアディレクターを務め、世界各国でプロ向けの美容技術セミナーにも招かれるなど、
その指導のもとアジアで10万人以上の美容師が一流の技術を学び、「京極琉ヘアデザイン」は世界的なトレンドとなっています。
「完璧なヘアスタイルとは、見た目の変化にとどまらず、自信とセンスを高める鍵である。」—— 京極琉
彼の理念は、美容技術を通して一人ひとりが「最も美しい自分」を表現できるようにすること。現在は日本最高峰のヘアケア技術を台湾市場にも導入し、より多くの台湾の方々にプロレベルの美容体験を提供しています。
【これまでの実績】
・世界的に認められた「世界一のヘアデザイナー」
・日本のトップヘアブランド「KYOGOKU」創設者
・アジアで最も人気のあるヘアアーティストであり、10万人以上のプロ美容師を指導
フリーランス美容師は青色申告がおすすめ


青色申告をオススメする最大のメリットは「節税効果が大きい」という点です。
なぜなら、「青色申告特別控除」が適用されて、所得金額から最大65万円(55万円)、又は10万円が控除されるため所得税の支払い額が少なくすむからです。
控除の種類 | 条件 |
65万円控除 | ①不動産所得・事業所得どちらかがある ②複式簿記で記帳 ③貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付 ④期限内の提出 ⑤e-Taxまたは電子帳簿保存で申告 |
55万円控除 | ①〜④を満たしている |
10万円控除 | 上記条件を満たさない青色申告者 |



青色申告では、過去3年間赤字を繰り越した場合、翌年黒字でも納税額が少なくなることもメリットと言えます。
一方で、白色申告には特別控除がありません。
その分、青色申告に比べて手続きが簡素化されている利点があるといえます。
>>【美容室開業届】では、税務署や保健所への届出申請など、美容室の開業までの流れについて解説しています。
青色・白色の違いと書き方


確定申告には「青色申告」と「白色申告」があります。
ここではそれぞれの違いとして、メリット・デメリットとみられる特徴をご紹介していきます。
また、それぞれの申告書の書き方についても確認していきましょう。
青色申告の特徴・書き方
青色申告の特徴は以下の内容です。
メリット | デメリット |
最大で65万円(又は55万円)の特別控除が受けられる 赤字が翌年以後3年間繰り越せる 条件付きで家族への給料を経費にできる 家賃や電気代なども経費になる 30万円未満の固定資産が全額経費になる | 白色申告より記帳が複雑 開業届の提出が必要 青色申告承認申請書の提出が必要 |
青色申告に必要な書類は、主に以下の3つです。
必要書類
- 確定申告書
- 青色申告決算書
- 各種控除などの添付書類
青色申告決算書の書き方





余裕を持って申告前に仕分けしておくようにしましょう。
白色申告の特徴・書き方
白色申告の特徴は以下のとおりです。
メリット | デメリット |
手続きがシンプルで簡単 | 特別控除がない 赤字の繰り越しができない |
白色申告に必要な書類は、主に以下の3つです。
必要書類
- 収支内訳書(一般用)
- 確定申告書
- 各種控除などの添付書類
収支内訳書の書き方


確定申告の流れ


確定申告の手順・流れは次のようになっています。
確定申告の流れ
- 必要な書類を準備
- 帳簿を整理
- 確定申告書類を作成
- 確定申告書などを提出
- 納税するor還付を受ける
用意するもの
確定申告する際に必要なものは以下のとおりです。
提出書類 | 確定申告書 収支内訳書/青色申告決算書 |
必要に応じて提出 | 医療費控除の明細書 社会保険料控除証明書 寄附金受領証明書 |
申告書作成に用意 | はんこ(e-Taxでは不要) 口座情報帳簿 領収書・レシート |
提出時に用意 | マイナンバーカード ICカードリーダーライターorスマホ(e-Taxの場合) |
e-Taxがオススメ


画像:国税庁
おすすめポイント!
- スマホやパソコン、タブレットでも申請できる便利さ!
- 還付金受け取り期間が早い!
- 青色申告控除額が最大10万円UP!
YouTube「国税庁動画チャンネル」でも申告書作成・送信方法などが手軽に学べます。
>>e-Taxの利用方法について
>>マイナポータルアプリに対応しているスマートフォン
美容室の帳簿の付け方


帳簿をつけずに確定申告することはできません。
事業所得を得ている場合、帳簿の記帳と保存が義務となっているためです。
ここでは、美容室オーナーとして知っておくべき帳簿付けの基本と実践的なポイントをわかりやすく解説します。
- なぜ帳簿が必要なのか?
- 帳簿の種類|記帳すべき内容
- 経費の記録で注意すべきポイント
- 白色申告と青色申告で異なる帳簿の義務
- 帳簿の保存期間・方法
- 会計ソフトの活用も検討を
参考:国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
なぜ帳簿が必要なのか?|確定申告における義務
美容室が帳簿を付ける目的は、主に次の3つです。
目的 | 内容 |
---|---|
確定申告のため | 税務署に収支を正確に報告し、正しい納税を行うためです。帳簿の内容は青色申告・白色申告どちらの場合でも必要になります。 |
経営の可視化 | 売上や経費、利益の推移を把握できるため、価格設定や経営戦略を見直す材料になります。 |
万一の税務調査への備え | 帳簿が整っていれば、税務署からの調査が入っても慌てず対応できます。 |
美容室の帳簿管理は、「面倒だから」と後回しにしてしまうと、確定申告時に苦労するだけでなく、思わぬ税務リスクにもつながります。
帳簿の種類
帳簿には、複式簿記と簡易簿記の2種類があります。
正規の簿記(複式簿記)と現金主義簡易式簿記(簡易簿記)の違いは以下のとおりです。
項目 | 正規の簿記 (複式簿記) | 現金主義簡易式簿記 (簡易簿記) |
---|---|---|
概要 | 借方・貸方を記録する複式簿記で、取引を二面から記録 | 現金の出入りのみを記録する簡易な方式 |
記帳方式 | 発生主義(取引が発生した時点で記録) | 現金主義(実際にお金が動いた時点で記録) |
主な帳簿 | 仕訳帳 総勘定元帳 | 売上帳 経費帳 現金出納帳 |
対象申告 | 青色申告(65万円控除) | 青色申告(10万円控除) 白色申告 |
メリット | 節税効果が高い 経営状況が正確に把握できる | 記帳が簡単 初心者でも取り組みやすい |
デメリット | 記帳が複雑 簿記の知識が必要 | 節税効果が限定的 経営の可視化が粗くなる |
記帳すべき帳簿内容
美容室が日常的に記帳すべき帳簿は以下の通りです。
種類 | 内容 | 記録例 |
---|---|---|
売上帳 | 施術売上、物販売上を記録 | カット料金、シャンプー販売など |
経費帳(仕入帳) | 美容商材、消耗品、家賃、水道光熱費などの経費 | カラー剤、シャンプー、電気代など |
現金出納帳 | 現金の収入と支出の管理 | レジの現金管理、小口現金の支出 |
預金出納帳 | 銀行口座の入出金管理 | 振込売上、家賃振込など |
給与台帳 | 従業員への給与や社会保険料など | アルバイト・スタッフへの支払い |
経費の記録で注意すべきポイント
美容室経営では経費が頻繁に発生します。
以下のように仕入れに要した費用等を記入する必要があります。
経費の記録
- 美容材料費(カラー剤、パーマ剤など)
- 備品・消耗品費(タオル、クロス、掃除用品)
- 家賃・光熱費
- 広告宣伝費(チラシ、インスタ広告)
- 交通費・研修費(セミナー参加)
たとえば、自宅兼サロンであれば、面積や使用時間に応じて家賃を按分(あんぶん)して計上します。
白色申告と青色申告で異なる帳簿の義務
区分 | 主な違い | 帳簿の義務 |
---|---|---|
白色申告 | 所得控除が少ない | 簡易帳簿で可(収支のみ) |
青色申告 | 最大65万円の特別控除 | 複式簿記による正確な帳簿が必要 |
節税メリットが大きいため、青色申告を選ぶオーナーが年々増加しています。
ただし、税務署への事前申請と、日々の帳簿管理がしっかりできていることが前提です。
帳簿の保存期間・方法
保管方法 | 特徴 |
---|---|
紙で保管する場合 | ファイルやバインダーで月別・用途別に分類 |
電子保存する場合 | クラウド会計ソフトやスキャンデータで分類・バックアップ |
帳簿や領収書などの証憑は、原則として7年間の保存義務があります。



白色申告でも同様です!
税務署からの問い合わせや調査に備えて、内容がすぐに確認できる状態での保存が求められます。
会計ソフトの活用も検討を
最近は、freeeや マネーフォワード、弥生などのクラウド会計ソフトが美容室向けにも対応しており、帳簿の自動作成やレジ連携機能を活用することで、経理の手間を大幅に削減できます。
毎日の売上・経費をこまめに記録し、必要に応じて会計ソフトや専門家の力を借りながら、シンプルでも続けられる仕組み作りを心がけましょう。
経費になるもの・ならないものの例


フリーランス美容師だと、仕事に必要なものを購入した場合、「必要経費」として計上することができます。
例えば、社員時代に自腹で買っていたシザーやコーム、講習会の参加費や交通費などを経費で落とすことが可能に。
節税対策として知っておきたい経費で落とせるもの、落とせないものをご紹介します。
フリーランス美容師におすすめ!帳簿管理アプリをご紹介している下記の記事も参考にしてみてください。
>>美容師の個人事業主で確定申告では、フリーランスのメリット・デメリットやインボイス制度について解説。
経費になるもの
勘定科目 | 具体例 |
消耗品費 | ハサミ コーム タオル ゴム手袋 薬剤 シャンプー ヘアケアアイテム エプロンなどの作業着 |
固定資産/減価償却 | 鏡 椅子 テーブル シャンプー台 (※10万円以上が対象) |
新聞図書費 | 参考書籍 電子書籍 雑誌 |
水道光熱費 | 水道費 光熱費 |
地代家賃 | テナント料 シェアサロンなどの利用料 |
家事按分 | 自宅でサロン業 スマートフォンの利用料 営業車 |
交通費 | 交通費 ガソリン代 |
会議費 | スタッフとのミーティング |
研修費 | セミナー 講習会 競合サロンの美容院代 |
接待交際費 | 取引先との飲食代 |
宣伝広告費 | ホームページ作成費 ネット広告費 チラシ |
消耗品費
値段が10万円未満、もしくは使用可能期間が1年未満のもの
固定資産
1年以上の長期間にわたって使用・保有する資産のこと
原則として10万円以上の取得金額であるものが対象
減価償却
- 10万円以上20万円未満:一括償却資産又は少額減価償却資産又は固定資産
- 20万円以上30万円未満:少額減価償却資産又は固定資産
- 30万円以上:固定資産のみ
家事按分
仕事で使用するスペースの割合を自ら算出し経費計上が可能
例①:100㎡の自宅のうち20㎡をサロンとして開業の場合、家賃の2割を経費計上
例②:仕事とプライベート半々でスマホ利用の場合、使用料の5割を経費計上
経費にならないもの
確定申告の際に「経費」として認められないものの例は以下のとおりです。



基準としては、プライベートと見分けがつかないもの。
- 事業主個人に対する給与
- 親族に対する給与や家賃
- 服やアクセサリーなど普段も着用するもの
- 仕事以外の外出で使った交通費
- プライベートな飲食代
- 事業主個人の健康診断費
- ジムの月額料
- 住宅ローンの元金・借入金
また、美容師で個人事業主収入やフリーランスの年収について紹介している
>>美容師の個人事業主で確定申告・税金では、フリーランスのメリット・デメリットも参考にご覧いただけます。
美容師の確定申に関するFAQ


ここで、「フリーランス美容師の確定申告」に関するよくある質問をご紹介します。
- 確定申告を忘れた場合は?
- 雇われ美容師でも確定申告が必要?
- 美容室で個人事業主の経費の割合は?
- 美容業における経費の割合は?
- フリーランスの美容師は何所得になる?
- 美容代も経費にできる?
確定申告を忘れた場合は?
「期限後申告」として取り扱う申告が可能です。
雇われ美容師でも確定申告が必要?
サロンに雇用されて働く正社員美容師の場合は、原則として自分で確定申告を行う必要はありません。
所得税の申告や納税は勤務先が代行するためです。
一方、フリーランスとして独立している美容師や、副業収入がある美容師は、所得の申告や納税を自分で行う必要があります。
対象となるにもかかわらず確定申告を怠った場合には、延滞税や無申告加算税などの罰則が科されることがあります。確定申告の対象であるかどうかを早めに確認し、必要な手続きを期日内に済ませましょう。
美容室で個人事業主の経費の割合は?
オーナー収入の目安は、売上に対して20〜55%程度です。
それは美容室の規模などによって異なります。
美容業における経費の割合は?
適正な経費率は30〜40%前後です。
リース代や材料費、光熱費、通信費などの固定費や、在籍するスタッフの人件費によって大きく左右されます。
フリーランス美容師は何所得になる?
フリーランス理容師・美容師の所得区分は「事業所得」に該当します。
継続して収入を得る美容師業の場合、事業所得で確定申告をすることになるためです。
美容代も経費にできる?
ヘアカット・ヘアカラー代など、美容室にかかる費用は、原則として経費として認められません。
経費とは、事業の遂行において客観的に必要と判断できる支出を指すためです。
そのため美容関連の支出であっても、事業との明確な関係性がある場合に限り、経費として処理することが可能です。
たとえば、撮影やイベント出演など、外見が業務成果に直結する職種であれば、証拠を添えて経費計上できる余地があります。
記帳の際は、状況に応じて[美容費]や[消耗品費]など適切な勘定科目を選び、支出内容が業務上必要であったことを説明できるようにしておきましょう。
まとめ
今回は、「フリーランス美容師の確定申告」について解説しました。
結論、フリーランス美容師には「青色申告」がオススメ。
それは、最大で65万円の特別控除が受けられるという理由から。
一方で、白色申告は手続きが簡略化されている利点もあるため、どちらが自分にとっていいのか検討し、準備を始めましょう。