美容室ドリンクサービス|美容院で飲み物・食品の無料提供や食品衛生法を解説

美容室でのドリンクサービスとは、長時間滞在するお客様への配慮であり、今や接客の一環として定着しています。
その一方で、「美容室のドリンクサービスは違法なの?」「ペットボトルを出しても大丈夫?」「有料にしたらどうなるの?」といった疑問を持つ美容師・オーナーの方が増えているのをご存じですか?
本記事では、「美容室 ドリンクサービス」に関する法律的な注意点から、オシャレなドリンクメニューのアイデア、提供タイミング、よくあるFAQまでをまとめて解説します。

自信を持って飲み物サービスの提供ができる、顧客満足度の高いサロンづくりに役立ててくださいね。
【美容室で飲み物】無料提供なら法律違反にはならない


美容室でお茶やコーヒーなどのドリンクを提供する行為自体は、基本的に食品衛生法違反ではありません。
ドリンクサービスはあくまで「無料でおもてなしとして提供」する限り合法ということに注意が必要です。
詳しくは以下に続きます。
食品衛生法とは
飲食による健康被害の発生防止、国民の健康保護を目的とした法律。
食品・添加物・器具・容器包装を対象に、衛生上の危害発生防止の規制、基準を定めるもの。
利益目的のドリンク提供は食品衛生法に触れる
結論から言うと、ドリンクを「無料で提供」する限り、食品衛生法上の営業許可は不要です。
ただし、以下のようなケースでは法律違反になる可能性があります。
違法になる可能性
- 飲み物を明確に「有料」で提供している場合(例:ビール・アルコール類など)
- メニュー表に「ドリンク付き〇〇円」と記載して実質的に施術料金に含めている場合
- ドリンク単体で注文可能にしている場合
こうした形式は、飲食店営業にあたると判断される可能性があり、保健所の営業許可が必要になります。
ドリンクサービスの注意点


美容室でのドリンク提供は、法律的にグレーな部分もあるため、事前に知っておくべき注意点がいくつかあります。
注意点
- 提供前に保健所へ確認しておく
- 集客・宣伝に活用するのは危険
- 施術料金にドリンク代上乗せの疑い
- 食中毒発生の場合は刑事罰の可能性
提供前に保健所へ確認しておく
前述のとおり美容室でのドリンク提供は、提供方法や内容によっては「飲食店営業」として扱われる場合があります。
たとえば、密封済みのペットボトルや個包装されたお茶などは、安全性が高く保健所から問題視されることはほぼありません。
一方で、紙コップに注ぐコーヒーや、氷を入れたアイスドリンク、ミルク入りのドリンクなど、“調理行為”や“温度管理”が必要な提供形式になると、営業許可が必要と判断されることもあります。
自治体によって解釈が異なる場合もあるため、事前に地域の保健所へ確認し、自店舗の提供形式が許容されるかを明確にしておくことが安全運用の第一歩です。
許可なしで提供していた場合、後から是正を求められたり、指導対象になるケースもあるため要注意です。
集客・宣伝に活用するのは危険
美容室のドリンクサービスを、集客目的で過度にアピールするのはリスクがあります。
たとえば、以下のような
- カフェ並みのメニューがあるサロンです
- ドリンク目当てに来店されるお客様多数
などの表現は、営業目的とみなされ、飲食業の範囲に踏み込んだと判断される可能性があります。
とくに、SNSやホームページ上でドリンクを主役に据えるようなPRを行うと、監督機関からの指摘につながるケースも報告されています。
美容室の本業はあくまで美容施術であり、ドリンクはその補助的な位置づけに留めるべきです。
宣伝に用いる場合は「施術中のリラックスタイムに、無料ドリンクをお出ししています」といったおもてなしを伝える控えめな表現が無難です。
>>美容室のサブスクとは?では、オーナーが知っておくべきおすすめサービス3選や導入するべき理由を解説。
施術料金にドリンク代上乗せの疑い
美容室の料金表で「カット+ドリンク付き 5,500円」といった記載をしていると、形式上はセットメニューに見えても、実質的にはドリンク代を料金に含めていると解釈される可能性があります。
これは、食品衛生法上の“対価を伴う飲食の提供”と見なされ、飲食店営業許可が必要とされる場合があるのです。
顧客から見ても「このドリンク、本当に無料なの?」という不信感を抱かせるリスクもあるため、明確な分離と説明が必要です。
価格表には「ドリンクは無料サービスとして提供しております」と明記し、あくまで施術料金の一部としてカモフラージュしないことが法的にも倫理的にも重要です。
安全に運用するためには、価格設定と表現方法にも細心の注意を払いましょう。
食中毒発生の場合は刑事罰の可能性
仮に無料でドリンクを提供していたとしても、提供した飲み物が原因で食中毒や体調不良が発生した場合、美容室側には刑事責任が発生する可能性があります。
これは、食品衛生法の適用外であっても、業としての提供=社会的責任が伴う行為と見なされるからです。
特に夏場のミルク系ドリンクや氷を使用したアイスドリンクなどは、雑菌繁殖や劣化のリスクが高く、常温放置が原因でトラブルにつながりやすいため、提供には慎重を要します。
無料提供であっても、ドリンクが原因で食中毒を起こした場合、美容師やオーナーが刑事責任を問われる可能性があります。



安全かつ誤解のない運用が、信頼にもつながります。
平日でも効果的な美容室の集客アイデアをご紹介している>>美容室の新規集客方法もご一緒にご覧ください。
季節に合わせたオシャレなドリンクメニュー例


美容室の印象アップや顧客満足の向上に役立つのが、季節感を取り入れたドリンクメニューです。
施術時に出される気の効いたドリンクが、実はサロンに行く楽しみのひとつ♪とひそかに思ってくれるお客様も中にはいらっしゃいます。
以下は参考となる一例です。
季節 | 種類 | ポイント |
---|---|---|
春 | 桜フレーバー緑茶 ハーブティー ロイヤルミルクティー | 香り高いフレーバーで花粉対策やリラックス効果 |
夏 | レモン水 ミントウォーター ジャスミンティー アイスコーヒー | 見た目も涼やかで清潔感 |
秋 | ほうじ茶ラテ 抹茶ラテ ゆず茶 | 甘さ控えめで大人向け |
冬 | ジンジャーティー チャイ ホットルイボス カフェモカ ココア | 身体を温め免疫ケア |
ペットボトルや個包装ティーバッグの活用が安心・安全で、衛生管理の手間も減らせます。



ドリンクで季節感を演出することで、サロン体験の印象が一段とアップします。
>>美容室のキャンペーンアイデアでは、面白い企画案で販促を成功させる事例を紹介。
サロンでドリンクを出すタイミング


ドリンク提供のタイミングも顧客体験の質を左右します。
一般的には以下のような流れが好まれます。
- 来店時|ウェルカムドリンク
- 施術中|リラックス効果
来店時|ウェルカムドリンク
来店直後にお出しすることで、緊張がほぐれる効果が生まれます。
注文形式ではなく、「本日はこちらをご用意しております」など、さりげない提供が理想です。
施術中|リラックス効果
カラーやパーマの待ち時間にドリンクを出すことで、“ただ待つ時間”が“癒しの時間”に変わる効果があります。
読書やスマホ時間との相性も良く、満足度につながります。



施術の流れに溶け込む設計が好まれます。
>>【美容室】暇すぎる一人美容院では、1月・5月閑散期の暇な月など、サロンの暇な時間対策を公開!
美容室スタッフ用|飲み物の聞き方マニュアル
お客様へドリンクサービスを提供する際に、ドリンクメニューからお選びいただくためのトークスクリプトをご紹介します。
また、以下のポイントに配慮してお伝えするとドリンクサービスが効果的に作用します。
ポイント
- 「飲み物はサービスの一環であり、強制ではない」と伝わる配慮を
- 「メニューの押しつけ」にならず、選ぶ楽しさや丁寧な印象を演出
- 提供タイミング・声のトーン・言葉選びが印象を左右する
タイミング別|飲み物の聞き方トーク例
①来店直後(受付・カウンセリング時)
「本日はお越しいただきありがとうございます。お飲み物、何かご用意させていただきますね。温かいお茶、冷たいお水、またはコーヒーなどからお選びいただけますが、いかがされますか?」
②カラー・パーマなど施術中の待ち時間
「お薬が浸透するまで少しお時間があるので、よければお飲み物をお持ちしますね。リラックスタイムにどうぞ。温かいルイボスティーやアイスコーヒーなど、ご希望ありますか?」
③おかわりを勧めるとき(必要に応じて)
「お飲み物、もし足りなければおかわりもできますので、お気軽にお声かけくださいね。」
または、状況に応じて直接声かけも。
「お飲み物、もう一杯いかがですか?冷たいものでも温かいものでもご用意できます。」
飲み物メニューの出し方
メニュー表を提示しながら
「こちらからお選びいただけます。」
ポイントは3〜4種類程度に絞ること。
お客様を迷わせることがない選択肢にすることがスマートです。
選択肢の例(メニュー例)
温かい飲み物 | 冷たい飲み物 |
---|---|
緑茶 | 冷たい麦茶 |
ルイボスティー | アイスコーヒー |
コーヒー(無糖) | お水(常温/冷) |
NG対応|注意点
以下の対応はお客様に対して好ましくない印象を与えるため、注意して接客しましょう。
状況 | NG対応例 | 改善案 |
---|---|---|
声がけなしで勝手に出す | 「コーヒーが来たけど飲めない…」 | アレルギーや好みを確認してから 苦手なものはカルテに記録 |
無表情・棒読み | 「飲み物どうしますか」 | 丁寧な声のトーンでおもてなしを意識 |
選択肢が曖昧 | 「何か飲みますか?」 | 「こちらからお選びいただけます」で具体的に誘導 |
サロンでのドリンクサービスに関するFAQ


サロンでのドリンクサービスに関してよくある質問と回答をまとめました。
- 有料で提供したり、カフェを併設したい場合は?
- ペットボトルの持ち込みはOK?
- 自分だけ飲み物が出なかったのはなぜ?
- 残すのはマナー違反?
- 美容室でドリンクサービスなしでもイメージ悪くならない?
Q. 有料で提供したり、カフェを併設したい場合は?
A. その場合は飲食店営業許可が必須です。
内装や換気設備も基準を満たす必要があります。詳しくは地域の保健所に相談しましょう。
Q. ペットボトルの持ち込みはOK?
A. 衛生的には問題ありませんが、においが強いものやゴミの持ち帰りルールなどを明確にしておくとトラブルを防げます。
Q. 自分だけ飲み物が出なかったのはなぜ?
A. スタッフのミスや、初回・再来による対応差などが考えられます。不安に思ったら飲み物はサービスであるのか遠慮なく確認しましょう。
Q. 残すのはマナー違反?
A. 基本的に問題ありません。スタッフも想定済みです。
Q. 美容室でドリンクサービスなしでもイメージ悪くならない?
A. 問題ありません。
特にコロナ禍で中止になったのをきっかけに「ドリンクサービスなし」のままのサロンは少なくありません。その場合、お客様が持ち込みOKの場合も多いでしょう。
まとめ
美容室のドリンクサービスは、お客様へのおもてなしとして大きな価値を持ちますが、
法律・衛生・表現の3点に配慮することが欠かせません。
- 無料提供であれば基本的に違法ではない
- 宣伝や価格への組み込みには注意
- 安全で衛生的な運用を徹底することが重要
- タイミングや季節感を意識すれば満足度アップ
ドリンクを通して、美容室の印象は大きく変わります。
「また来たい」と思わせる体験の一部として、お客様への配慮として、正しく活用していきましょう。
美容室のドリンクサービスは提供することよりも、どう提供するかが問われる時代。
安心・安全・おしゃれの3要素を押さえて、過度にならないおもてなしを実現しましょう。