美容師の個人事業主とは何なのか|個人経営のメリット・デメリットから青色申告までを紹介
「美容師の個人事業主について興味がある」
このような方に向けて「美容師の個人事業主とは何なのか」について徹底解説していきます。
また、個人経営から青色申告まで紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人
ナチュラルな大人可愛いから今時の可愛いまで、お客様に合わせたヘアデザインをご提案させて頂きます。
メンズ似合わせカットや、透明感カラーが得意です。またアイリストのディプロマ取得済み。現在は転職エージェントとしてサイト運営中。
美容師の個人事業主とは
近年増加傾向にある、美容師の個人事業主。
個人事業主とは、店舗を構えずに会社を設立しないで、個人で事業を行っている人のことを言います。
美容師で言う個人事業主とは、特定のサロンで雇われる働き方ではなく、面貸しや業務委託のフリーランスとしての働き方のことです。
店舗を構えなくても税務署で開業届を提出することで個人事業主として働くことができます。
美容師の個人事業主メリット
美容師の個人事業主で働くメリットは、何といってもあらゆる面での自由度の高さです。
通常の雇用では朝礼からはじまり、業務外のミーティングや練習、雑務など拘束されてしまう時間が長い傾向にあります。
しかし個人事業主としての働き方は、拘束されることがなく働く時間も曜日も自分で調整することができます。
働いた分お給料にも反映されるのでやりがいも感じやすいはずです。
今まで休めなかった土日祝もお休みが取得でき、好きなペースで必要な業務のみ効率よく行うことができるのがメリットです。
美容師の個人事業主デメリット
美容師の個人事業主はたくさんメリットがある一方、同時にデメリットも存在します。
個人事業主は自由度が高い反面、自由に働いた責任は全て自分で負わなくてはなりません。
雇用されていればオーナーや会社に守られていますが、個人事業主は自分がトップとして責任を取らなくてはならないでしょう。
固定給もないので働いた分が雇用されていた頃よりも、ダイレクトにお給料に反映されてしまいます。
- 稼働時間が短いとお給料が少ない
- 手続きなど全て自分で行わなくてはならない
- 自ら学ぶ姿勢がないと成長できない
このようなデメリットも上手に付き合って行かなくてはなりません。
確定申告など税金関係の知識も必要となってきます。
美容師の個人事業主としての働き方
業務委託
サロンオーナーと対等な働き方ができるのが業務委託です。
サロンオーナーと雇用関係になく、業務委託(個人事業主)として業務を受ける形になります。
業務委託はマンツーマンでの接客が求められる場合が多く、はじめから最後まで自分で担当しなくてはなりません。
そのため一通りの技術を習得した、スタイリストでないと業務委託として働くのは難しいでしょう。
面貸し
美容室の空いている席や、余った席を美容師さんに貸し出すのが面貸しです。
サロンオーナーも空いている席を有効活用でき、席が埋まることで店舗の活気もでるメリットがあります。
自分でお店を持つのは難しいが、個人事業主としてやっていきたい方にとっては家賃や経費が抑えられるので共にメリットがあります。
面貸しとサロンオーナーは雇用関係になく、あくまで場所を借りる利用者とオーナーの関係性となるのです。
お給料をオーナーからもらうのではなく、自分の売上から場所代をオーナーに支払う形となります。
自分で集客
業務委託も面貸しも、どちらの個人事業主という働き方でも、自分で集客できる力が必要となってきます。
勤務先の店舗が新規やフリーのお客様が、絶えずご来店いただけるのであれば、必要のない場合もあります。
しかしそうではない場合、個人事業主として安定的に収入を得るためには、一定のお客様にご来店いただかなくてはならないのです。
- SNSでの集客
- チラシ集客
- ホームページ集客
- 美容ポータルサイト集客
- リスティング広告
など様々な方法を使ってお客様にアプローチしていくことが必要不可欠です。
個人ではSNSでの集客が一番低コストで取り入れやすいでしょう。
一度ご来店いただいたお客様にもSNSやLINEで繋がり、次回の来店の足がかりにしたりと工夫していくことでリピート率をあげることもできるかもしれません。
美容師の個人事業主の確定申告手順
手順1.「開業届」と「青色申告承認申請書」の提出
個人事業主として活動していくにあたって、まずはじめにしなくてはならないのが開業届の提出になります。
それと同時に確定申告の際に、税金が安くなる青色申告に必要な青色申告承認申請書も開業届と一緒に提出しておいてください。
これができていないと
- 青色申告ができない
- 仕事用の口座開設ができない
- 補助金、助成金の申請ができない
などと後々困ってしまうので必ず提出しましょう。
事業を開始してから最寄りの税務署に1ヶ月以内に提出するように定められています。
手順2.「国民健康保険」の切り替え
前の職場を退職した場合、退職日から14日以内に国民健康保険に切り替えなくてはいけません。
手続きはお住まいの市区町村の窓口ですることができます。
【必要な書類】
- 健康保険の資格喪失証明書、退職証明書
- マイナンバーが確認できるもの
- 本人確認ができるもの(運転免許書、マイナンバーカード、パスポート)
保険料を口座振替にしたい場合は、キャッシュカードや通帳、金融機関届出印も持参すると安心です。
手順3.「国民年金」への加入
厚生年金に加入していない20〜60歳の方であれば、国民年金への加入が義務付けられています。
会社に勤めている時は、月々の給与から年金保険料が天引きされているので、自分で支払う必要はありません。
しかし個人事業主となると自分で支払って行かなくならないのです。
手続きは国民健康保険と同様に、退職日から14日以内にお住まいの市区町村の窓口で行います。
【必要なモノ】
- 年金手帳
- 基礎年金番号通知書
手順4.「美容所」に登録する
フリーランスのように店舗を持たない場合は必要ないのですが、店舗を構えて個人事業主として働く場合は美容所登録が必要になります。
保健所にて開業届けを提出しチェックを受けて、構造設備などに問題がなければ美容所登録が完了します。
この審査に通らなければ美容所を開業することができません。
開業の一週間前までが提出期限ですが、余裕を持って提出することをオススメします。
美容所登録が完了していないのに営業を開始してしまうと、罰金や営業停止処分の罰則規定が課せられてしまうケースもあるので注意が必要です。
手順5.「確定申告」をする
個人事業主は1年の所得に応じて、利益を確定させて税金を申告して納税します。
これが確定申告です。
雇用されていた時との違いは、経費計上ができるようになります。
個人事業主は売上から経費を差し引いた額が所得額となるので、通信費や家賃など経費にできるものは経費で計上することで節税効果が期待できます。
【経費計上できるモノ】
- 交通費
- 消耗品費(カラー剤、シャンプー、トリートメント)
- 宣伝広告費
- 光熱費
- 通信費
- 家賃
- 人件費
- 保険料
- 業務に必要な費用(雑誌、ハサミ、道具)
上記のようなものが経費として計上することができます。
家賃や交通費など全てが計上できるわけではなく、細かい決まりもあるのでそのあたりもしっかりと確認しておくと安心です。
個人事業主の年間所得が290万円を超えると、年間所得の5%の事業税が課されます。
店舗を構える個人事業主の場合は、美容器具や内装に固定資産税が課されます。
これらも租税公課という項目で、経費となりますので忘れずに計上しましょう。
まとめ
美容師が個人事業主として働いていくことは、技術に集中していれば良かった雇われの時とは違います。
様々な場面で経営者としての知識や責任感が必要になってきます。
軽い気持ちで始めてしまうと後々大変になってしまうので、事前にしっかりとメリット、デメリットを把握して自分に合った働き方なのか吟味してみてください。
個人事業主はしっかりと計画性を持って働けば、今までにできなかった働き方が実現できます。
美容師としてもとてもメリットの大きい働き方ですので、はじめは勇気がいりますが検討する価値は十分にあるでしょう。