美容師の失業保険|失業手当の申請方法や受給条件・いつからもらえるか解説

美容師として働く中で、退職を考えたり、経験することがありますよね。
美容師は失業率の高い業界です。
そんな時、生活の安定を図るためにも「一時保険(一時手当)」の保障をしっかりと確保することは非常に重要です。
本記事では、美容師の失業保険や失業手当の申請や需給についてまとめました。
休職中や求職中に困らないためにもしっかり確認しておきましょう。

この記事を書いた人
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メンズ似合わせカットや、透明感カラーが得意です。またアイリストのディプロマ取得済み。現在は転職エージェントとしてサイト運営中。
美容師も失業手当がもらえる!

美容師も条件を満たせば失業手当がもらえます。
美容師はフリーランスや個人経営を目指す方も多いですが、雇用されていた場合は雇用保険の対象です。
失業した際は一定の要件を満たせば失業給付を受け取れます。
例えば、美容室に雇われていた場合は、雇用保険に加入していれば、退職後にハローワークで手続きを行えば失業した美容師に対する給付として、失業手当を受け取れます。
失業手当は、再就職までの生活を支える重要な制度です。
ただし、美容師は雇用保険に加入していないケースもあります。
独立を考える場合には「小規模企業共済」などの制度を利用するのも選択肢の一つです。
クビになった後の選択肢を広げるためにも、制度を理解し、活用しましょう。
>>美容国保と社会保険・国民健康保険|フリーランス・個人事業主美容師の保険について詳しく解説しています!
失業手当(失業給付金)がもらえる条件
手当を受給するためには、次の2つの条件を満たさなければなりません。
- 雇用保険の加入期間が一定以上を満たす
- 求職活動している
両方が当てはまる人は失業手当がもらえます。
妊娠・出産が理由の場合は、>>美容師の育休・産休の手続きも確認してください!
雇用保険の加入期間が一定以上を満たす
失業手当を受け取るには、雇用保険に一定期間加入している必要があります。
ただし、自己都合ではなく倒産や解雇などの会社都合の特定理由退職をした場合は、6カ月以上の加入で受給資格が得られます。
美容師は業務委託や個人経営の形態が多いため、雇用保険入ってないケースもあります。
雇用契約の有無を確認し、雇用保険に加入しているかどうかを事前に確認すべきです。
求職活動している
失業手当を受給するためには、ハローワークで求職活動を行わなければなりません。
単に退職しただけでは受給資格を得ることはできません。
求職活動とは、ハローワークでの職業相談、求人応募、企業との面接などが該当します。
また、美容師として独立を考えている場合でも、開業準備中に求職活動を行っていることを証明できれば、失業手当を受け取れます。
失業手当の申請方法

手当を受給するための一般的な手順を紹介します。
- 離職票を受け取る
- ハローワークに提出する
- 7日間待機する(特定理由離職者は待機後に失業手当支給)
- 雇用保険受給説明会に参加する
- 定期的に失業認定を受ける
- 失業手当が給付される
順番に確認しましょう!
①離職票を受け取る
失業手当の申請には、離職票が必要です。退職時に勤務先から受け取ることが一般的ですが、退職後に郵送される場合もあります。
もし退職後に離職票が届かない場合は、勤務先に確認しましょう。
②ハローワークに提出する
離職票を受け取ったら、住所地を管轄するハローワークへ提出します。
本人確認書類やマイナンバー、預金通帳などが必要です。
提出後、求職申込を行い、失業手当の受給資格が審査されます。
③7日間休業する(特定理由離職者は待機後に失業手当支給)
申請後は7日間の待機期間があり、この間に収入を得てしまうと給付開始が遅れます。
倒産や解雇による特定理由離職者は、待機後すぐに支給が開始されます。
④雇用保険受給説明会に参加する
待機期間終了後、ハローワークで雇用保険受給説明会に参加しなければなりません。
この説明会では、失業手当の受給条件や求職活動の方法について説明を受けます。
⑤定期的に失業認定を受ける
失業手当を継続的に受給するためには、4週間ごとにハローワークで失業認定を受けなければなりません。
求職活動の実績が求められ、最低2回の求職活動を行った証明が必要です。
⑥手当が支給される
すべての条件を満たせば、指定された口座に失業手当が振り込まれます。
給付額は退職前の給与によって異なりますが、一般的な美容師の年収を考慮すると、日額4,000〜6,000円程度となることが多いです。
給付される金額と期間

手当の手当額は、離職前の年収や年齢、離職理由などによって異なります。
賃金日額は離職前6ヶ月間の給与総額を180で割った金額です。
また、基本手当日額は賃金日額に給付率を掛けた金額です。
自己都合退職の日額は特定受給資格者の年齢を参考にしてください。
離職理由 年齢区分 | 被保険者期間 | 給付日数 | 賃金日額上限 | 基本手当日額上限 | 給付率 |
---|---|---|---|---|---|
自己都合(一般受給資格者) | 10年未満 | 90日 | 年齢による | 年齢による | 50~80% |
10年以上20年未満 | 120日 | 年齢による | 年齢による | 50~80% | |
20年以上 | 150日 | 年齢による | 年齢による | 50~80% | |
会社都合(特定受給資格者) | 1年未満 | 90日 | 年齢による | 年齢による | 50~80% |
30歳未満 | 1年以上5年未満 | 90日 | 14130円 | 7065円 | 50~80% |
5年以上10年未満 | 120日 | 14130円 | 7065円 | 50~80% | |
10年以上20年未満 | 180日 | 14130円 | 7065円 | 50~80% | |
30歳以上35歳未満 | 1年以上5年未満 | 120日 | 15690円 | 7845円 | 50~80% |
5年以上10年未満 | 180日 | 15690円 | 7845円 | 50~80% | |
10年以上20年未満 | 210日 | 15690円 | 7845円 | 50~80% | |
20年以上 | 240日 | 15690円 | 7845円 | 50~80% | |
35歳以上45歳未満 | 1年以上5年未満 | 150日 | 15690円 | 7845円 | 50~80% |
5年以上10年未満 | 180日 | 15690円 | 7845円 | 50~80% | |
10年以上20年未満 | 240日 | 15690円 | 7845円 | 50~80% | |
20年以上 | 270日 | 15690円 | 7845円 | 50~80% |
参考:ハローワーク
手当の対象外となるケース
手当が支給されないケースもありますので、注意が必要です。
手当の対象外となるケース
- 独立・開業する
- 転職先が決定している
- しばらくは就活しない
- 副業などの収入がある
>>美容師の助成金・補助金も合わせてご覧ください!
独立・開業する
美容師が独立や開業をする場合、基本的には手当の受給対象外となります。
ただし、開業準備中に求職活動を行っているとみなされる場合は例外です。
>>美容師の働き方の種類・美容師の将来性さまざまな選択肢から自分に合ったものを選びましょう!
転職先が決定している
すでに次の職場が決まっている場合、手当は支給されません。

求職中であることが前提となるため、転職先が確定している場合は申請しても認められません。
しばらくは就活しない
休養目的で退職した場合や、求職活動をしない場合は、失業手当を受け取れません。
ハローワークでの求職活動の実績が必要です。
副業などの収入がある
暇手当の利益中に副業で収入を得た場合、その額によっては給付額が減額されたり、支給停止になるので注意しましょう。
同様に、美容モニターなどのアルバイト収入がある場合でも、申告が必要です。
開業・就職する場合ももらえる「再就職手当」|対象条件
美容師が転職や開業を決めた場合でも、一定の条件を満たせば「再就職手当」を受け取ることができます。
これは、次の仕事にスムーズに移行できるように設けられた制度で、主に失業保険の受給資格がある方が対象です。
詳しくは管轄のハローワークへ確認すると安心です!
- 前職で1年以上勤務
- 待機期間後に就職
- 受給資格認定後に就職
- 支給日数が1/3以上ある
- 過去3年間受け取っていない
- 前職の関連会社ではない
前職で1年以上勤務
再就職手当を受け入れるためには、前職での雇用保険に1年以上加入している必要があります。
待機期間後に就職
7日間の待機期間終了後に再就職した場合に対象となります。
資格認定後に就職
ハローワークで権利が認定された後に再就職した場合に限ります。
支給日数が1/3以上ある
手当の支給日数のうち、1/3以上の手当日を残して就職すると、再就職手当が受給できます。
過去3年間受け取っていない
過去3年以内に就職再手当を受け取っていないことも条件の一つです。
前職の関連会社ではない
前職と関連のある会社に転職した場合は、再就職手当の対象外となります。
名前が異なっていても、実質的に前職と関係がある企業であると判断された場合も、手当を受け取ることができないため注意が必要です。
美容師の失業保険に関するFAQ


Q. 業務委託・フリーランスでも失業手当や再就職手当はもらえる?
原則として、業務委託やフリーランスは雇用保険の対象外のため、失業手当や再就職手当は受け取れません。
失業手当は雇用保険に加入していた人が対象なので、個人事業主扱いの業務委託やフリーランスは加入義務がないからです。
たとえば、美容室で業務委託契約をしていた場合、雇用保険料が給与から引かれていないため、失業給付の申請ができません。
一方、過去に雇用契約をして働いた後にフリーランスになった場合は、雇用保険の加入期間によって給付を受けられる可能性があります。
Q. 失業保険がカットされるケースとは?
失業保険がカットされる主なケースは、不正受給や就職活動の実態が認められない場合です。
例えば、アルバイト収入を申告せずに失業手当を受け取った場合、不正受給とみなされ、全額返還+ペナルティが科されます。
また、認定日に求職活動を行っていないと判断されると、給付が停止されます。
失業保険を適正に受給するためには、求職活動の報告を確実に行い、規則を遵守するのが大切です。
活動を行っていないと判断されて停止や減額されないよう注意しましょう。
Q. 失業保険の所得申告で美容モニターなどの副業収入は含まれる?
美容モニターなどの副業収入も申告の対象となります。
副業収入がある場合は、失業保険の申告対象です。
失業手当は「収入がない状態で求職活動を行っている人」が対象なので、副業収入がある場合は給付額に影響します。
例えば、美容モニターで1回5,000円の謝礼を受け取った場合、その収入を申告しないと不正受給とみなされます。



美容モニターやアルバイト収入は必ず申告し、適正な形で失業給付を受け取りましょう。
Q.例えば手取り20万円の場合ではいくらぐらいもらえる?
手取り20万円の場合、10万円~16万円程度が需給されます。
失業保険の給付額は「基本手当日額」によって決まります。
失業手当は「退職前6ヶ月の給与の50~80%」を基準に算出されるため、給与額によって受給額が異なります。
ただし、社会保険料や税金も引くと、実際の手取り額は12~14万円程度となります。
失業保険は働いていた時の手取り収入よりも減るため、受給期間中の生活費には注意しましょう。
>>美容室の給料の決め方もご覧ください!
Q. 失業保険を受け取ると加入期間がリセットされる?
失業保険を受給しても、過去の加入期間が完全にリセットされるわけではありません。
ただし、次回の失業保険を受け取るためには、新たに一定期間(通常12ヶ月以上)の雇用保険加入が必要です。
例えば、5年間雇用保険に加入し、失業保険を受け取った後に再就職し、3ヶ月で退職した場合、新たな失業手当は受け取れません。しかし、1年以上働けば再び給付を受ける権利が発生します。
失業保険を受け取る際は、再就職後の雇用保険加入期間にも注意を払いましょう。
Q.美容師が退職金ないのは違法?
退職金の支給は法律上の義務ではないため、退職金がないこと自体は違法ではありません。
退職金は企業や店舗ごとの規定に基づくため、制度がない場合は支給されません。
ただし、就業規則に記載がある場合は支払われるべきです。
退職金制度の有無は事前に確認し、将来の資金計画を考えておきましょう。
>>美容師の退職金の相場はこちらで紹介しています。
Q. 教育訓練給付金とは?
教育訓練給付金は、雇用保険加入者が対象の資格取得やスキルアップのために受けられる給付金制度です。
厚生労働省が定める講座を受講すると、受講料の一部(最大70%)が支給されます。
例えば、美容師がネイルやエステの資格を取得するために対象講座を受講すると、受講料20万円のうち14万円が給付されます。
給付対象となるためには、一定期間(通常1年以上)の雇用保険加入が必要です。
スキルアップを考えている人は、教育訓練給付金を活用すれば、経済的負担が減ります。
まとめ
美容師が退職後に失業手当をもらうには、雇用保険の加入期間や求職活動の証明など、一定の条件を満たなければいけません。
特に、美容師やネイリストは業務委託やフリーランスの仕事や、雇用保険に未加入のケースも多いため、退職前に自分の保険状況を確認しておくことが重要です。
また、独立や開業を目指す場合は手当の対象外となる可能性があるため、再就職手当や小規模企業退職などの制度も活用しましょう。
金銭的な不安を少しでも軽くして、老後の心配なく好きな美容師の仕事を続けていきましょう!