家に来てくれる美容師|訪問美容師・介護美容師のカット料金相場や個人経営
訪問美容とは、理美容師が自宅や施設、病院に出向き施術を提供するサービス「出張美容室」のこと。
最近は介護以外でも、自宅で美容師にカットしてもらう訪問美容の需要も増えています。
ご高齢の方はもちろん、産前産後の方、ケガや病気で療養中の方、障害をお持ちの方など、美容室に行くことが難しい方々にとって非常に便利なサービスだからです。
また、家に来てくれる美容師サービスは、コロナ禍のような感染症を恐れて外出できない高齢者の方にも必要とされてきた存在。
今後も「家に来てくれる美容院」「移動式美容室」などは、様々なニーズにおいて高まる市場拡大が予測されています。
今回はそんな訪問美容師について、個人で開業する前に知っておくべき基礎知識を解説しますので、これから独立をお考えの方はぜひ参考にご覧ください。
この記事でわかること
- 自宅訪問をしてくれる美容師の仕事内容
- 訪問美容の料金相場
- 訪問美容の需要が高まる理由
- 個人で訪問美容師として開業する方法とステップ
- 受けられる助成金・補助金
この記事を書いた人
ナチュラルな大人可愛いから今時の可愛いまで、お客様に合わせたヘアデザインをご提案させて頂きます。
メンズ似合わせカットや、透明感カラーが得意です。またアイリストのディプロマ取得済み。現在は転職エージェントとしてサイト運営中。
【訪問美容師とは】美容所に行けない理由を持つ方を対象としたサービス
訪問美容師とは、美容室に行けない理由がある方々のために、自宅や施設などへ出向いて美容サービスを提供する美容師のことです。
美容師法では、美容室・理容室以外でのサービスは禁止されていますが、お客さまの状況によってはいくつかの例外が認められています。
その例外に該当し、訪問美容を利用できるのは、以下のような方々です。
訪問美容サービスの対象者
- ご高齢の方
- 産前産後の方
- 療養中の方
- 障害のある方
- 美容所がない地域の方
- イベント・芸能など当日ヘアメイクを必要とする方
>>福祉美容師・介護美容資格とはでは、訪問美容師が持っておくといい資格をご紹介しています。
①ご高齢の方
ご高齢の方の中には、身体的な問題や移動手段の問題で、美容室に行くことが難しい方が多くいらっしゃいます。
自宅での施術だけでなく、介護施設でヘアカットなどの施術を受けることもできます。
今後も少子高齢化で自宅に来てくれる美容師のニーズは高まることが予想されます。
日常生活の中で外出が困難な方も多く、特に一人暮らしの高齢者にとっては、自宅でヘカットができる訪問美容はとてもありがたい存在です。
訪問美容・訪問理容は基本的に介護保険適用外のサービスですが、自治体によっては費用を一部負担してくれるチケットを発行してくれる場合もあります。
②産前産後の方
妊娠中や出産直後は、外出が難しくなるケースがあります。
妊娠中は絶対安静で外出厳禁になる場合があり、産後は体力の回復の問題などの母体の具合に加え、赤ちゃんのお世話も重なり、外出が非常に難しい状況です。
出産前に美容室に行けなかったママにとっては、この時期に美容師を自宅に呼ぶことができ、赤ちゃんの様子を見ながら自宅でカットできるのはとても助かります。
③療養中の方
病気や怪我で療養中の方にとっても、訪問美容室のサービスはとても便利です。
急な体調の変化に不安がある療養中の方にとって、在宅の状態でリラックスしながら美容師の施術を受けられるのは大きなメリットです。
療養中は外出が困難なことが多いため、訪問美容は心のリフレッシュにもなり、精神面での支えにもなります。
④障害のある方
障害がある方にとって、美容室までの移動は大きな負担であり、慣れない場所での施術が難しい障害をお持ちの方もいらっしゃいます。
美容師の訪問サービスは、このような障害をお持ちの方にも快適に施術を受けてもらえるように。
特別な設備やサポートが必要となる場合もありますが、その場合は施設と協力することで、安心して美容サービスを受けていただくことができます。
⑤美容所がない地域の方
地方や離島など、美容所が少ない地域に住む方々にとっても、出張美容院は貴重なサービスです。
美容所がない地域では、訪問美容師が地域住民の生活の質を向上させる一助となります。
⑥イベント・芸能など当日ヘアメイクを必要とする方
結婚式やイベント、テレビ収録など、当日にヘアメイクが必要な方々も、訪問美容師を利用できます。
イベント当日は時間に余裕がなく、移動も大きな負担となるため、出張ヘアサロンで現場でヘアメイクを提供することで、スムーズな準備が可能になります。
お客様の自宅でカットする訪問美容師の仕事内容
訪問美容師は、お客様の自宅や施設に出向き、シャンプー、カット、カラー、パーマなどの美容サービスを提供するお仕事。
美容師が出張カットとして訪問先で施術する「移動美容室」という概念のサービスです。
そのために必要な機材などの搬出・運搬作業や、動けない方の場合には介助する力仕事も付随します。
訪問理容師との違い
訪問美容師と訪問理容師の違いは、主に提供するサービスの内容にあります。
美容師はカット、カラー、パーマなどの美容サービスを提供し、理容師は主にカットやシェービングを行います。
訪問理容師は、特に男性のお客様に対して、自宅訪問し髪の散髪やひげの手入れ、シェービングサービスを提供することが多いです。
理容師はカミソリを使えるのが美容師との違いで、男性に特化した出張散髪、出張床屋の需要も根強くあります。
訪問美容師は、どのお客様に対しても、ヘアスタイルの提案やカラーリング、パーマなど、幅広い美容サービスを提供することができます。
>>美容師と理容師の違いでは、ダブルライセンスの資格取得や仕事内容の違いについて解説しています。
また、出張美容師料金としては、施術料金の他に、移動距離やエリアごとに設定された「出張料金」が上乗せされる場合もあります。
訪問美容の施術メニュー例と料金相場
訪問美容・訪問理容料金は下記の価格帯が相場となっています。
施術メニュー | 金額 |
シャンプー | 1,000円〜3,000円 |
カット | 1,000円〜4,000円 |
シャンプー+カット | 3,000円〜6,000円 |
カット+パーマ | 6,000円〜10,000円 |
カット+カラー | 6,000円〜10,000円 |
訪問理美容の料金は、地域や美容師の経験、施術内容によっても異なり、遠方の場合は美容師の出張料金を別途負担となる場合もあります。
また、設備が整っている介護施設や病院などでは、自宅と比較するとリーズナブルに施術が受けられるケースが多いです。
同じ地域の訪問美容師の料金相場、もしくは美容室の値段相場やヘアカット出張サービスの相場を参考に精査することが大切です。
>>美容師の出張カット|訪問美容の料金相場では、訪問美容に向いている美容師さんの特徴についてご紹介。
訪問美容の需要が高まる理由
訪問美容の需要が高まっている背景には、社会的な変化や高齢化、ライフスタイルの多様化など、さまざまな要因が関係しています。
以下に、主な理由を解説します。
需要が高まる理由
- 高齢化社会の進展
- 介護施設・医療機関での需要増加
- ライフスタイルの多様化とニーズの変化
- コロナ禍の影響
- サービスの多様化と技術の向上
高齢化社会の進展
訪問美容の需要が高まる背景には、少子高齢化が進む現代の社会課題にもあると言えます。
世界に類を見ない超高齢社会を迎えている日本において、高齢者が住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らし続ける社会を目指すことが大きな課題と言えるからです。
国や地域は、介護保険制度をはじめとする高齢者福祉・介護施策やサービスを推進していくなかで、美容業界でもその役割を果たすことができるということです。
ご高齢の方では、足腰が弱くなったり、体調を崩したりして、美容室や理容室に通うのが困難な人が多くいます。
そうした人々にとって、自宅で美容サービスを受けられる訪問美容は、生活の質を向上させる貴重な手段です。
自分で外出することが難しい高齢者に対して、訪問美容は美容サービスを提供するだけでなく、心のケアや社会との接点として大いに貢献することができます。
介護施設・医療機関での需要増加
高齢者施設や介護施設、病院などでも訪問美容の需要は高まっています。
施設や病院に入居・入院している人々にとって、美容サービスは日常生活の一部であり、心身のリフレッシュに繋がるのです。
また、施設や医療機関側にとっても、入居者や患者の満足度を高めることができるため、訪問美容を導入する施設が増えています。
ライフスタイルの多様化とニーズの変化
忙しい日常生活を送る現代人にとって、時間の確保は重要な課題です。
例えば、妊婦の方や小さなお子さんがいる場合、家庭での様々な負担を軽減しながら美容サービスを受けることができるため、訪問美容が求められています。
訪問美容は、こうした時間に制約のある方々にとって、都合の合う時間や場所でサービスを受けられることに価値を感じられる選択肢となります。
コロナ禍の影響
新型コロナウイルスの流行以降、人々の生活や行動は大きく変化しました。
その結果、感染リスクを最小限に抑えながら美容サービスを受けられる訪問美容が注目されるようになった背景も大きく影響していると言えるでしょう。
また訪問美容は、リラックスして過ごせる慣れ親しんだ空間で、他の顧客と接触することなく施術を受けられるため、安心感が高い魅力的なサービスとなるのも特徴です。
サービスの多様化と技術の向上
訪問美容では、従来のカットやカラーリングに加えて、ヘアケア、メイク、ネイルケア、リラクゼーションマッサージなど、提供できるサービスの種類が増えていることも挙げられます。
これは、訪問美容に特化したトレーニングを受けた美容師が増え、技術の向上や顧客対応の質も高まっているため。
これらの背景から、訪問美容の需要は今後も増加することが予想され、ますます多くの人々にとって身近で便利なサービスとなるでしょう。
>>福祉美容師・介護美容資格では、訪問美容に必要な資格や取り方、メリット・デメリットを詳しくご紹介しています。
訪問美容を個人で開業する方法
出張美容師を個人で開業するには、申請などいくつかのステップがあります。
開業のステップ
- 地域を決める
- 申請手続き
- 必要な機材・薬剤・車両を購入
- 宣伝広告・営業活動を実施
①地域を決める
まずは、どの地域でサービスを提供するかを決めましょう。
需要の多い地域を選ぶことがその後の安定した集客につながります。
高齢者の多い地域や、美容室が少ない地域は需要が高く、安定した経営が見込めます。
地域の人口構成や近くの出張床屋・美容室など他店の競合状況を調査しましょう。
また、同時に施術メニューや料金設定なども決めていくことになります。
これは後から変更するのが難しいので競合や相場、目標売上などを考慮した上で慎重に決めなくてはなりません。
>>訪問美容師のデメリットでは、訪問美容で大変なことや失敗例・注意点を解説しています。
②申請手続き
美容師としての資格に加えて、複数の申請書類の準備が必要です。
例えばさいたま市の場合、2週間前までに保健所に届け出を出す必要があります。
申請書類や書式などは各自治体によっても異なるので、訪問美容を開業したい地域のホームページをご確認ください。
③必要な機材・薬剤・車両を購入
訪問美容を行うためには、必要な機材や薬剤、移動手段となる車を揃える必要があります。
準備が必要なもの
- 消毒器具類(出張美容の届出で確認)
- 薬剤等(カラー、パーマ、シャンプー、トリートメント等)
- 機材(ハサミ・コーム・ドライヤー等)
- 消耗品(タオル・クロス等)
- 移動用カバン
出張ヘアカラーやパーマを導入する場合はポータブルのシャンプー台が必要です。
また、車を購入の際は機材の収納スペースも考えて購入を計画しましょう。
また、訪問美容ではトラブルも個人で対応する必要があるため、保険の加入も検討しておくと安心です。
④宣伝広告・営業活動を実施
開業後は、SNSやホームページなどのオンラインの営業活動と、介護福祉施設を訪問するなどオフラインの訪問美容師サービスの営業活動の両方を行っていくことがお勧めです。
当たり前ですが、良い口コミを頂き顧客を増やすために、丁寧なサービスと顧客満足度の向上を心がけましょう。
>>訪問美容は儲からない?では、訪問美容師の平均年収と年収アップのコツ、訪問美容で儲かるビジネスモデル、儲からないケースの特徴についてご紹介していますのでぜひ参考にご覧ください。
訪問美容の開業資金は20万円〜100万円
訪問美容の開業資金は、20万円から100万円程度です。
上記の紹介した備品で10万~20万円、ホームページなどの広告宣伝費に5万~50万円、さらに車の購入代金が加わります。
一から準備する場合、多額の開業資金が必要になります。
その場合、開業資金を調達するために、融資や助成金・補助金を利用することも検討しましょう。
>>美容師の開業では、独立して美容室の開業をするまでの流れや手続き・年齢・費用について解説。
開業資金として融資や助成金・補助金を利用できる
融資や助成金・補助金を活用することで、開業資金の負担を軽減することができます。
助成金・補助金の一部をご紹介します。
助成金・補助金
- ものづくり補助金(経済産業省)
- 起業支援金(地方創生推進事務局)
- 新規開業資金(日本政策金融公庫)
- 創業者向け補助金・助成金(各自治体により呼称が異なる)
特に、地域に応じた助成金があることが多いので、開業を予定している自治体の情報をチェックしましょう。
家に来てくれる美容師の需要は地方だけでなく東京でも多くありますが、助成金は東京以外という条件もあるので、開業する地域は給付金も含め、よく精査しましょう。
>>訪問美容師のデメリットでは、訪問美容で大変なことや失敗例・注意点を解説しています。
まとめ
訪問美容師は、美容室に行けない理由を持つ方々にとって非常に便利なサービスで、今後ますます需要が増えることが予想されます。
訪問美容サービスのまとめ
- 訪問美容師は自宅や施設でカットやヘアカラーの美容サービスを提供する
- 訪問美容の料金相場は地域によって異なり、事前の調査が必要
- 訪問美容を個人で開業する4ステップは①地域決め②申請手続き③必要資材の購入④広告・営業活動の実施
- 訪問美容の開業資金は20~100万円、必要に応じて融資や助成金を利用可能
美容師としての新しいジャンルへ挑戦してみたい方は、ぜひ訪問美容を検討していただきたいと思います。
美容師専門の無料求人サイト
「優秀な美容師を雇いたい、、」
「人気の美容室で働きたい、、、」
上記のようにお考えの「美容師や美容学生」「美容室オーナー」は、ぜひアプリを登録してみてください。