美容室の上場企業|美容院の大手企業・サロンや美容業界メーカーを一覧で紹介

美容室業界は、全国に25万件以上の事業所が存在すると言われるほど、非常に競争が激しい業界です。
そのなかでも「上場企業」として経済的・社会的に信頼のある美容室や理容室、美容関連企業は、ほんの一握りしかありません。
本記事では、上場会社や大手企業に関心のある美容学生や、美容師、サロンオーナーの気になる情報をまとめました。

現在上場している主要な美容サロン運営企業と、美容業界全体の企業動向などを紹介します。
美容師や理美容業界を目指す方だけでなく、投資家や経営者にも、有用な情報です。
「美容室ってどこが一番大きいの?」「上場している美容院って存在するの?」というシンプルな疑問にも答えつつ、業界の今を解説していきます。


監修者 — 京極琉
京極琉は「世界一のヘアデザイナー」と称され、数々の国際的な美容賞を受賞した実力派。日本の高級ヘアブランド「KYOGOKU」の創設者であり、アジアにおいて非常に高い影響力を持っています。セレブリティ、有名人、スーパーモデル、企業家などのヘアスタイルを手がけ、無数の人々にとって理想のイメージを実現してきました。
パリ・ミラノ・東京コレクションでは公式ヘアディレクターを務め、世界各国でプロ向けの美容技術セミナーにも招かれるなど、
その指導のもとアジアで10万人以上の美容師が一流の技術を学び、「京極琉ヘアデザイン」は世界的なトレンドとなっています。
「完璧なヘアスタイルとは、見た目の変化にとどまらず、自信とセンスを高める鍵である。」—— 京極琉
彼の理念は、美容技術を通して一人ひとりが「最も美しい自分」を表現できるようにすること。現在は日本最高峰のヘアケア技術を台湾市場にも導入し、より多くの台湾の方々にプロレベルの美容体験を提供しています。
【これまでの実績】
・世界的に認められた「世界一のヘアデザイナー」
・日本のトップヘアブランド「KYOGOKU」創設者
・アジアで最も人気のあるヘアアーティストであり、10万人以上のプロ美容師を指導
美容室の上場企業は5社


現在、日本国内で上場している美容室運営企業は以下の5社のみです。
- キュービーネットホールディングス(QB HOUSE運営)
- AB&Company(Agu.運営)
- ヤマノホールディングス(美容学校やエステ含む)
- 田谷(TAYAなどの高価格帯サロン運営)
- MHグループ(モードケイズなど運営)
有名店ばかりですが、それぞれの企業は、ビジネスモデルやターゲット層、価格帯などが大きく異なります。
低価格で効率重視の「QB HOUSE」、働き方改革を進める「Agu.」、老舗の「TAYA」、教育に強い「ヤマノHD」、トレンド発信型の「MHグループ」と上場している5社はそれぞれ異なる強みがあります。
「どの企業が自分に合っているか」を判断するには、単純な知名度や規模ではなく、事業モデル・働き方・顧客層などを総合的に比較する視点が重要です。
以下に、各社の基本情報を比較した一覧表をまとめました。
>>美容室の大手チェーン店ランキングの記事も参考にしてください。
美容室 上場企業5社の比較一覧表
企業名 | 主なブランド | 店舗数(国内) | 売上高(直近) | 上場市場 | 決算期 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
キュービーネットHD | QB HOUSE | 約700店舗 | 約120億円 | プライム | 6月 | 低価格・時短型カット専門店 |
AB&Company | Agu. hair | 約800店舗 | 約240億円 | グロース | 9月 | フランチャイズ主体・SNS集客強化 |
ヤマノHD | Yamano Beauty Collegeなど | 約20店舗+教育事業 | 約90億円 | スタンダード | 3月 | 美容専門学校・エステ事業も展開 |
田谷 | TAYAなど | 約100店舗 | 約70億円 | スタンダード | 3月 | 都市部中心・老舗高価格帯路線 |
MHグループ | MODE K’sなど | 約60店舗 | 約40億円 | グロース | 9月 | 関西中心・デザイナーズサロン展開 |
※出典:各社IR資料および業界メディア(2024年度時点)
>>カリスマ美容師や有名美容師の記事も参考にしてください。
キュービーネットホールディングス
キュービーネットホールディングスは、業界最大手のカット専門チェーン店「QB HOUSE」で幅広く知られています。
圧倒的なブランド力と効率経営の代表格の会社です。
キュービーネットホールディングスは、従来の「予約必須」「カット+カラー・パーマ」の美容室とは異なり、「カットのみ・10分・1,200円」という明確なサービスコンセプトを打ち出しています。
特に、忙しいビジネスマンやファミリー層を中心に支持を集めています。
駅ナカ・商業施設など好立地展開も強みです。
日本全国に700店舗以上を展開し、さらに香港、台湾、シンガーポールといった海外にも進出しています。
外国人スタッフの積極採用や自社研修施設も整備し、オペレーションの標準化・人材確保の両面で先進的です。
AB&Company
AB&Companyは、若者層を中心に急成長中の「Agu. hair」を主力とする新鋭企業です。
フランチャイズ戦略が成功し急拡大中です。
美容師の独立支援や集客支援をパッケージ化した「業務委託モデル」と、ホットペッパーなどを活用した強力な集客施策を採用しています。
これにより、低リスクで回転率の高いビジネスモデルを実現しました。
「Agu.」は都市部に加え、地方都市や郊外エリアへの出店も加速しています。
さらにSNSや口コミでも認知度を上げています。



美容師にとっても「働きやすい」「自由に働ける」と評判の企業です。
ヤマノホールディングス
ヤマノホールディングスは、美容学校・着付け・エステなど複合的に展開する老舗企業。サロン単体ではなく「美容教育企業」として注目されています。
美容師の人材育成を主軸に、エステや健康食品事業など幅広いジャンルに参入しており、BtoCとBtoBを組み合わせた事業モデルが特徴です。
創業は大正時代にさかのぼり、戦前から続く老舗でもあります。
それゆえファミリー経営色も強く、安定性と信頼感がある一方で、若年層へのアピールには弱みがあります。
田谷(TAYA)
田谷は、都市部を中心に展開する高価格帯サロン「TAYA」を運営する企業です。
長年にわたるブランド力と接客品質で一定のファンを獲得しています。
創業から50年以上にわたり、美容業界での地位を確立してきた田谷は、高品質なサービスと安定した店舗運営が特徴です。
顧客単価は1万円以上と、明確に富裕層をターゲットとしています。
「TAYA」や「Shampoo」など複数のブランドを展開。店舗数は年々縮小傾向にあるものの、都市部のハイエンド需要を継続的に吸収しています。
MHグループ
MHグループは、関西圏を中心に拡大している「モードケイズ」などを展開する中堅グループ企業です。
若者向け・おしゃれ感重視の店舗デザインが特徴です。
東京・大阪などの都市部に加え、奈良・和歌山・兵庫など地方都市にも展開し、地場に根ざした運営を続けています。
インスタ映えを意識したサロン設計や、20〜30代の女性向け施術メニューの充実も魅力です。
スタッフのSNS活用やトレンドメニュー導入に積極的で、Z世代との相性も良好。
採用活動も独自色が強く、若手美容師にとって魅力的なキャリアパスを提示しています。
>>店長の給料や美容師の年収についてもまとめています。
アルテサロンホールディングスは上場廃止
かつて「NYNY」や「ZACC」などのブランドで知られたアルテサロンホールディングスは、美容室業界における上場企業のひとつとして注目されていました。
しかし、2022年6月に東京証券取引所のスタンダード市場から上場廃止となリマした。
上場廃止の背景には、経営資源の再配分や株式の流動性の低下が挙げられています。
また、今後の事業戦略で非上場の方が機動的に判断・実行できるという経営判断が背後にありました。
市場の種類|上場基準の比較
日本の証券取引所には現在、以下の3つの市場区分が存在します。
市場名 | 目的・特徴 | 上場基準 | 主な企業規模 |
---|---|---|---|
プライム市場 | グローバルな機関投資家向け | 時価総額250億円以上、流通株式35%以上など厳格な基準 | 大企業・業界リーダー |
スタンダード市場 | 中堅企業向け・持続成長企業 | 時価総額10億円以上、株主数400人以上など | 中堅〜準大手企業 |
グロース市場 | 高成長スタートアップ向け | 時価総額10億円以上、収益要件なし、将来性重視 | ベンチャー・急成長中企業 |
参考:「日本経済新聞|プライム市場の概要」「rsviaコラム|美容室の上場について」
プライム
東証プライムは、流通株式比率・ガバナンス体制・時価総額すべてにおいて厳格な審査基準があります。
企業の信頼性と開示姿勢が特に問われる市場です。
美容室業界ではキュービーネットホールディングスがここに該当します。
スタンダード
スタンダード市場は、既存事業の安定性を重視した中堅企業向けの市場です。
田谷・ヤマノホールディングスが該当します。
グロース
グロース市場は、収益よりも将来の成長可能性を重視しているのが特徴です。
美容業界ではAB&CompanyやMHグループが上場している市場です。
上場するメリット・デメリット


美容室企業が上場するのには、多くの恩恵がありますが、同時に課題も伴います。
以下に、主なメリットとデメリットを比較表でまとめました。
上場のメリット
メリット | 内容 |
---|---|
資金調達 | 株式市場から大規模な資金調達が可能に |
信頼性向上 | 金融機関や取引先からの信用が増す |
採用力強化 | 求職者にとって信頼できる企業となり、人材確保しやすくなる |
ブランド価値の向上 | 上場企業という社会的評価を得られる |
経営透明性 | ガバナンスが強化され、企業体質の健全化が進む |
美容室が上場する最大のメリットは、信頼性とブランド力の大幅な向上です。
さらに、上場すれば株式市場からも資金調達でき、大規模な店舗展開や設備投資、人材育成が安定的行えます。
上場企業としての信用が増せば、金融機関や取引先との関係が強化されるだけでなく、求職者からの信頼も高まり、優秀な美容師の採用がしやすくなります。
上場でブランド価値と社会的評価が高まり、経営の透明性も向上し、美容室業界で確固たるポジションを築けます。
上場のデメリット
デメリット | 内容 |
---|---|
経営の自由度制限 | 株主対応やIR活動により意思決定が鈍化することも |
上場維持コスト | 適時開示・監査・書類作成など継続的なコストが発生 |
情報開示リスク | 内部情報の公開義務により、競合に戦略が漏れる可能性 |
株主との利害調整 | 中長期的な施策よりも短期利益を求められやすくなる |
美容室業界では、スピード感や現場裁量が重視されるため、上場による制約はマイナスに働くこともあります。
なぜなら、上場によって経営の自由度が制限され、現場重視のスピーディな判断が難しくなるからです。
株主対応や情報開示義務により迅速な意思決定が鈍化し、現場の感覚とずれが生じるリスクがあります。
大手理美容ディーラーランキング上位の会社の中にも、上場している会社はありません。
また、上場を維持するためには監査・書類作成・IR対応など継続的なコストが発生し、資源が現場以外に分散する懸念も。
さらに、内部情報の開示義務で競合に戦略が漏れたり、株主の短期的な利益要求により中長期の成長戦略がとりづらくなったりします。
美容室の上場は信用や資金力の向上と引き換えに、現場主導の強みが損なわれる点がデメリットです。
>>美容ディーラーがきついかどうかの記事もご覧ください。
上場企業の共通点
美容室業界で上場を果たしている企業には、共通点があります。
以下はその代表的な特徴です。
- 「仕組み化」に成功している
- 美容師の「働き方改革」に向き合っている
「仕組み化」に成功している
多店舗展開が前提となる美容業界で、教育・採用・店舗運営などをマニュアル化・標準化できている企業は、スケーラブルに成長しやすいです。
たとえばQB HOUSEでは、10分カットというサービスに最適化された仕組みが徹底されており、新人でもすぐに現場に立てる設計が高評価です。
美容師の「働き方改革」に向き合っている
旧来の美容業界では、長時間労働・低賃金・休日の少なさが問題視されていましたが、一部上場企業は「ホワイト化」への取り組みに積極的です。
AB&Companyのようにフランチャイズモデルで収入の自立性を高めたり、福利厚生の整備を進めている企業が多いです。
>>フランチャイズ美容室も一覧でまとめました。
まとめ
美容室で上場企業というと非常に限られた世界に感じられるかもしれませんが、実際に現在上場しているのは5社のみ。
そのどれもが、独自の強みと明確な戦略を持っています。
また、上場することで得られる信頼性・資金力・採用力などのメリットがある一方で、情報開示や株主対応などの負担も生まれます。
上場の有無がすべてではありませんが、美容室業界での「上場」は、事業の成長性や社会的信頼を測るひとつの指標と捉えるのおすすめです。
そんな中、アルテサロンホールディングスの上場廃止は、美容業界の構造変化を示す象徴でもあります。今後は非上場の大手企業が増える可能性もあり、就職先選びや投資判断には慎重さが求められます。
上場する市場の種類を理解すれば、美容室企業の目指す成長ビジョンを見極めやすくなります。
これから美容師を目指す方や美容室で働きたい方、業界分析をしている投資家にとっても、これらの情報をもとに自分なりの判断軸を持てば、将来の選択肢を広げる鍵になります。