美容師の開業|独立して美容室の開業をするまでの流れや手続き・年齢・費用
美容師は独立開業できる国家資格を持つ職業。
美容師としての技術や経験を積み重ね、いよいよ自分のサロンを開業しようと考えている方も多いでしょう。
独立して美容室を開業することは、大きな夢であると同時に、多くの準備や手続きが必要。
起業で失敗敗しないためには、具体的な開業の流れを把握し、必要な手続きを確実に進めることが重要です。
どのようなステップがあるのか、何を準備すべきかを理解することで、スムーズに開業を進めることができます。
また、年齢や経験に関する不安を抱える方もいるかもしれませんが、それぞれに応じた適切な準備を行うことで、夢を実現することが可能に。
今回は、美容師として独り立ちする際に、どの程度の開業費用がかかるのか、どのような資金調達方法があるのかがわかるようにまとめています。
美容師が独立して美容室を開業するまでの具体的な流れや手続き、必要な費用や準備について詳しく解説しますので最後までご一読ください。
万全の準備をして、「美容室独立開業」という夢を実現するための第一歩を踏み出しましょう。
解説内容
- 美容室開業までの流れ
- サロン開業に必要な資格
- 開業に必要な手続き
- 開業に適したタイミングや年齢は何歳?
- 開業にかかる費用とその内訳とは
- サロン開業資金の調達方法
- 成功する美容室開業のポイント
この記事を書いた人
ナチュラルな大人可愛いから今時の可愛いまで、お客様に合わせたヘアデザインをご提案させて頂きます。
メンズ似合わせカットや、透明感カラーが得意です。またアイリストのディプロマ取得済み。現在は転職エージェントとしてサイト運営中。
美容室開業までの流れ
美容師の独立・開業をする方法や流れについて見ていきましょう。
大まかな流れは、次の通りです。
サロン開業の流れ
- 事前準備
- 資金調達
- 保健所・消防署での手続きと内装工事
- 税務署・労働保険の手続き
- 賠償保険の加入
事前準備
まずは計画的な事前準備です。
お店のコンセプトやターゲット層、それに見合った施術メニューや料金設定など、明確化した事業計画を策定します。
また、店舗物件や内装業者などをを探したり、コンセプトに合う外観・内装、設備などを検討するのも時間がかかるため、同時進行させる必要があります。
資金調達
次に重要なのは資金調達です。
開業に必要となる、店舗工事の設備資金や当面の運転資金などを用意する必要があります。
自己資金で賄えない場合は、金融機関からの融資を検討しましょう。
保健所・消防署での手続きと内装工事
ヘアサロン開業には、保健所の許可と消防署の検査を受けなければなりません。
許可や検査を受けるためには、基準に合った店舗の内装にすることが条件であるため、事前に確認しておく必要があります。
税務署・労働保険の手続き
開業後は、税務署へ開業届を提出しましょう。
また、スタッフを雇う場合、採用手続きや労働保険の手続きも必要となります。
賠償保険の加入
万が一に備えた賠償保険へ加入もお忘れなく。
美容サロンでは、お客様とのトラブルが生じるケースも避けられないためです。
損害賠償を求められた場合のことを考えて準備しておくことも大切です。
サロン開業に必要な資格
美容室の開業には、以下の資格が必要です。
必要な資格
- 美容師免許
- 管理美容師免許
美容師免許
美容師免許とは、美容師として施術サービスを行ううえで必須となる国家資格です。
美容師の国家試験に合格し、美容師名簿に登録されることで美容師になれます。
美容師オーナーは保持していなくても問題ありませんが、美容師として施術するスタッフは必ず持っておく必要がある資格です。
管理美容師免許
管理美容師とは、美容室の衛生管理の責任者のことをいいます。
二名以上の従業員がいる美容院では、管理美容師の在籍が必須です。
美容師である従事者の数が常時2人以上である美容所の開設者は、当該美容所を衛生的に管理させるため、美容所ごとに、管理者を置かなければならない【美容師法第12条の3】
公益財団法人 理容師美容師試験研修センター
管理美容師になるためには、3年間の実務経験と都道府県指定の講習を受けることで取得できます。
開業に必要な手続き
美容室の開業には、いくつか必要な手続きや届出書の提出があります。
代表的な手続きは、下記の内容です。
開業に必要な手続き
- 保健所
- 消防署
- 税務署
- 労働保険・社会保険の手続き
保健所
保健所へ美容室開設届を提出します。
美容室開設届を提出する際は、以下の書類が必要となります。
- 施設の平面図
- スタッフ名簿など
店舗の内装に不備等がある場合、営業許可を受けられません。
消防署
消防署による消防検査を受けます。
これは店舗の防災設備が基準を満たしているか検査するためです。
税務署
開業して1か月以内に税務署へ開業届の提出が必要です。
また、青色申告をする場合は、青色申告承認申請書の提出も併せて行います。
青色申告について詳しくは>>美容師確定申告を参考にご覧ください。
労働保険・社会保険の手続き
従業員を雇用する場合は、労働保険や社会保険の手続きが必要です。
以下の3つの手続きを行うのが一般的です。
申請先 | 内容 |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金の加入 |
ハローワーク | 雇用保険の加入 |
労働基準監督署 | 労災保険の加入 |
開業に適した年齢とタイミング
美容師が独立して開業する平均年齢では、30代前後が多いと言われています。
美容師としてのスキルや指名顧客の確立など、十分な経験値と自己資金を確保できる年齢からです。
最短でも、美容師としての実務経験は5年以上必要と言えるでしょう。
開業するのに適したタイミングというのは、人によって異なるものですが、ほとんどの場合、以下のような時期が当てはまります。
独立・開業のタイミング
- 美容師を目指すきっかけ
- 美容師としての経験・スキルへの自信
- 自由な働き方をしていきたい願望
- 自己資金が目標額達成
- 理想の物件が見つかった
例えば、トップスタイリストとしてサロンの売上目標を達成させていく最中、独立が見えてくるケース。
美容師としての役職を経ていく過程で、経営に携わるようになったり、売上管理を任されることで少しづつ経営学を学ぶようになっていきます。
そんななかで、自分の思い描く理想のサロンを実現させたいという夢や、美容室のオーナーとして理想の働き方をしながら収入アップを目指したいなどと、独立を考えるようになる美容師の方は少なくありません。
また、サロンの運営方針や、職場の人間関係問題、結婚や出産・育児などライフステージの変化であったりと、独立を意識し出すケースもあります。
いずれにしても、経験やスキルだけではなく、自己資金を含めた事業計画を遂行させたときが、独立開業を失敗させないための適切なタイミングと言えるでしょう。
>>美容室の経費削減では、コストを削減させる重要性や、美容室の材料費や経費の内訳について徹底解説。
開業にかかる費用とその内訳
美容院の開業費用は、規模や立地条件などにより異なりますが、一般的には300万円〜1,000万円程度です。
独立開業を成功させるためには、しっかりとした資金計画を立て、必要な費用を準備することが重要。
以下に、主な費用とその内訳を示します。
開業費用
- 物件取得費
- 内装工事費
- 設備・備品費
- 宣伝広告費
- その他の初期費用
- 運転資金
物件取得費
敷金・礼金
賃貸物件の場合、敷金や礼金が必要です。
敷金は家賃の2〜3か月分、礼金は1〜2か月分が相場。
仲介手数料
不動産仲介業者を通じて物件を借りる場合、家賃の1か月分程度の仲介手数料がかかります。
>>自宅サロンで気をつけることでは、テナントを借りずに自宅で開業して違法になるケースや、賃貸での注意点やデメリット、一人美容室の開業後にやるべきことについて解説しています。
内装工事費
工事費
店舗の内装を美容室向けに改装する費用。
デザインや規模により異なりますが、100万円〜500万円程度が一般的です。
設備費
シャンプー台、カットチェア、鏡などの美容室専用設備の購入費用。
設備一式で50万円〜200万円程度が必要です。
設備・備品費
美容機器
ドライヤー、アイロン、シザーなどの美容機器の購入費用。
約10万円〜30万円が目安です。
家具・インテリア
待合スペースのソファやテーブル、レジカウンターなどの購入費用。
約10万円〜50万円がかかります。
宣伝広告費
看板・サイン
店舗の看板やサインを設置する費用。
約10万円〜30万円程度が必要です。
広告費用
チラシ、SNS広告、ウェブサイト作成などの宣伝費用。
約5万円〜20万円が一般的です。
その他の初期費用
開業準備費
開業手続きに必要な印刷物(名刺、メニュー表など)や開業イベントの費用。
約5万円〜10万円程度がかかります。
保険料
火災保険や賠償責任保険などの加入費用。
約2万円〜5万円が相場です。
消耗品費
シャンプー、トリートメント、カラー剤などの消耗品の初期在庫費用。
約5万円〜20万円が目安です。
運転資金
開業後の運転資金
開業初期の運転資金として、3か月〜6か月分の家賃や人件費、光熱費などを準備します。
約50万円〜200万円が必要です。
美容室が潰れる前兆として多く挙げられるのが運転資金不足。
詳しくは、>>美容室経営は厳しい?で解説しているので併せてチェックしてください。
サロン開業資金の調達方法
美容室の開業資金には、設備資金や運転資金を合わせるとおおよそ1,000万円が必要。
その調達方法には、以下のものが挙げられます。
調達方法
- 自己資金
- 融資
自己資金
美容室の開業では、一定程度の自己資金の用意は必要です。
ある調査によれば、サロン開業した5割以上の方が、1年以上前から自己資金を準備しています。
自己資金の相場
200~300万円程度
銀行・日本政策金融公庫の融資
自己資金で足りない分は、融資で補うことになります。
融資
- 銀行
- 日本政策金融公庫
日本政策金融公庫では、創業支援として創業融資に力を入れています。
まずは、日本政策金融公庫へ相談してみることをオススメします。
金融機関での融資は、事業計画書が必要となり、開業後の計画をしっかりと提示する必要があります。
成功する美容室開業のポイント
美容室の開業を成功させるためには、綿密な計画と準備、そして日々の努力が成功の鍵となります。
具体的なポイントは以下の7つです。
成功のポイント
- 明確なコンセプトとターゲット設定
- 立地選び
- 質の高いサービスと技術
- 効果的なマーケティング
- 適切な料金設定
- スタッフの採用と教育
- 経営管理の徹底
>>美容室の売上では、1人・2人・個人経営の開業で儲かるための売上平均や利益率を解説。
美容室の開業を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下に、成功に導くための具体的な要素を示します。
1. 明確なコンセプトとターゲット設定
コンセプトの明確化
美容室の特徴やスタイルを明確にし、他店との差別化を図ります。
例えば、高級感のあるサロン、親しみやすいカジュアルサロン、オーガニック製品を使ったサロンなど、コンセプトを固めます。
ターゲット顧客の設定
年齢層、性別、ライフスタイルなどに応じたターゲット顧客を設定し、お客様のニーズに寄り添ったサービスを提供します。
2. 立地選び
顧客層に合った立地
ターゲット顧客が多く集まるエリアを選びます。
駅近くやショッピングモール内、住宅地など、アクセスの良い場所が理想的です。
競合分析
近隣の競合店の状況を調査し、差別化を図るための戦略を立てます。
競合が人気店な場合は、その理由を徹底分析することで集客に役立てることができるためです。
3. 質の高いサービスと技術
技術力の向上
美容師としての技術を常に磨き、新しい技術やトレンドを取り入れます。
これは顧客の期待に応えるために必要なためです。
顧客対応
丁寧なカウンセリングや、顧客一人ひとりに合ったサービス提供を心がけます。
顧客満足度を高めることで、リピーターを増やすのに効果的だからです。
4. 効果的なマーケティング
オンラインプレゼンス
ウェブサイトやSNSを活用し、定期的に情報を発信しましょう。
ヘアスタイルの写真やビフォーアフター、キャンペーン情報などを掲載することでより多くのユーザーに届き、目に多くすることで親近感を持たれやすく、ニーズにマッチする潜在顧客へのアプローチができるためです。
口コミ・紹介
良いサービスを提供することで、自然に口コミが広がります。
紹介キャンペーンの実施などで、新規顧客の獲得を促進できるためです。
5. 適切な料金設定
価格帯の設定
ターゲット顧客に合わせた価格設定を行います。
高級志向の顧客には高めの料金設定、カジュアル志向の顧客には手頃な料金設定など、ターゲット層に合う価格帯が効果的となるためです。
付加価値の提供
料金に見合った付加価値を提供し、顧客の満足度を高めます。
例えば、無料のヘッドスパやマッサージ、ドリンクサービスなど。
6. スタッフの採用と教育
優秀なスタッフの採用
技術力だけでなく、コミュニケーション能力や接客の良いスタッフを採用することが重要です。
お客様が受けるお店としての印象に大きく関わってくるためです。
スタッフの教育・トレーニング
定期的な研修や勉強会を開催し、スタッフのスキルアップを図ります。
働きやすい環境を整えることで、スタッフのモチベーションを高めることに効果的といえるためです。
7. 経営管理の徹底
経理・財務管理
収支をしっかりと管理し、無駄な経費を削減します。
会計ソフトを導入することで効率的に管理できます。
在庫管理
シャンプーやトリートメントなどの在庫を適切に管理し、コスト削減を心掛けることもポイントです。
美容師として独立するには、開業してオーナーになる以外にも方法があります。
フリーランス美容師として独立することで、開業費用を抑えながら、ブースレンタルなどを利用して独自のサロン運営が可能になる選択肢も。
詳しくは、>>美容師の業務委託とはで業務委託サロンやフリーランスのメリット・デメリットをご紹介しています。
まとめ
以上、美容師の独立・開業で知っておきたいことをご紹介してまいりました。
美容室のオーナーになるには、まず計画的な準備と手続きが重要です。
開業までの具体的な流れとして、まず物件の選定と契約、次に内装工事や設備の導入、そして必要な書類の提出と各種手続きを進めます。
また、年齢や経験に関する不安を解消するためには、しっかりとした資金計画と事業計画を立てることが求められます。
開業にかかる費用は、物件取得費や内装工事費、設備・備品費、宣伝広告費など多岐にわたりますが、
総額で300万円〜1,000万円程度が一般的。
さらに、開業後の運転資金も含めて計画的に準備することで、安定した経営が可能となります。
今回ご紹介したポイントを参考に、夢の美容室開業への第一歩を踏み出し、成功への道を歩んでください。
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