ひとり美容室|1人経営の年収や間取り・1人で1日何人?個人経営のデメリット
1人美容室・1人理容室を開業したいとお考えの理美容師さんは近年さらに増えてきています。
結論、一人美容室の開業では自由なサロンづくりや働き方を実現するために、売上や成長の限度を把握して目標設定することが成功へのルートです。
「美容師として独立して1人サロンオーナーになりたい」
「一人だけで美容室を開業するメリット・デメリットは?」
「スタイリストとしてある程度稼げてきたから独立してもっと稼ぎたい」
今回は、このような考えをお持ちの美容師さんに向けて「美容室の1人経営」について下記の内容を解説します。
- 1人美容室経営の売上・収入
- 固定客数の目安
- 店舗の広さや間取り
- メリット・デメリット
- 開業資金
- 個人サロンの需要
美容院を一人で経営するうえでの注意点を、今の時点からふまえておけば、リスク管理を準備しながら独立に向けて進めていくことができるでしょう。
美容師としての独立開業を検討している方は、より具体的に計画できるよう、ぜひ参考にご覧ください。
この記事を書いた人
ナチュラルな大人可愛いから今時の可愛いまで、お客様に合わせたヘアデザインをご提案させて頂きます。
メンズ似合わせカットや、透明感カラーが得意です。またアイリストのディプロマ取得済み。現在は転職エージェントとしてサイト運営中。
1人美容室の売上と収入の目安
1人美容室で一日に何人くらい来ますか?
ということで、1人美容室で成功させるには、1日何人を目標に設定すれば売上達成できるのかについて見ていきます。
1人美容室の一例
客数/日 | 売上/月 | 収入 |
2人 | 276,000円 | 月収:151,800円 年収:1,821,600円 |
3人 | 414,000円 | 月収:227,700円 年収:2,732,400円 |
4人 | 552,000円 | 月収:303,600円 年収:3,643,200円 |
5人 | 690,000円 | 月収:379,500円 年収:4,554,000円 |
6人 | 828,000円 | 月収:455,400円 年収:5,464,800円 |
7人 | 966,000円 | 月収:531,300円 年収:6,375,600円 |
8人 | 1,104,000円 | 月収:607,200円 年収:7,286,400円 |
9人 | 1,242,000円 | 月収:683,100円 年収:8,197,200円 |
10人 | 1,380,000円 | 月収:759,000円 年収:9,108,000円 |
11人 | 1,518,000円 | 月収:834,900円 年収:10,018,800円 |
※月に23日間の稼働で算出
1人美容室では人件費がかからないので、スタッフの人件費35%も合わせると、売上の55%がオーナーの収入となります。
経費の内訳については>>美容室開業で失敗で解説。
例えば、上記の一覧表の算出では、月の売上が100万円なら、月収55万円、年収660万円と、美容師の平均年収の2倍ほど稼げる計算になるでしょう。
もし、年収1000万を目指すというのなら、一人で1日に11人のカットをこなす設定になります。ただ、カラーやパーマ、店販などで客単価を上げることができれば人数を6人〜7人に減らすことも可能です。
もちろん、稼働日数や単価設定によっても変動します。
>>美容師独立の年収・美容室経営では、夫婦・個人・フリーランスなど1人美容室は儲かるのか、独立後の年収シミュレーションをご紹介。
美容院が儲かる仕組みは単価と店販
ヘアサロンでより多くの粗利を出すためには、単価と店販がポイントです。
利益を出す方法
- 客単価を高めに設定
- 店販(物販)
特に、原価がかからないメニューである「カット」が儲かる施術メニューとして挙げられます。
まず、施術メニューの単価設定では、なるべく下げすぎないように注意したいところと言えます。
競合と比較して、自店で提供できるサービスに相応しい料金はどのくらいかの見極めが、今後の展開を左右すると言っても過言ではありません。
また、施術のみでなく、商品販売からも収益を得る手法をうまく取り入れることも大切です。
シャンプー・トリートメントやスタイリング剤など、顧客ニーズを反映させた商品を取り揃えて接客時に自然な紹介ができると良いでしょう。
詳しくは、>>店販とは?で売るコツやキャンペーン・アプローチ法をご紹介しています。
ひとり美容師の固定客は20人いれば大丈夫
一人サロンを経営する上では、15〜20人のリピート顧客が十分にやっていける目安のひとつ。
それは、客単価×客数で算出される売上目標がベースとなるからです。
一人で独立し個人店としてやっていくには、売り上げ目標に対して客単価・客数を設定する必要がありますね。
例えば、月70万円の売上を設定するなら、月営業日数を25日として1日あたり3万円が目標となります。
単価 | 客数/日 | 客数/月 |
カット:6,000円 | 5人 | 125人 |
カット・カラー:10,000円 | 3人 | 75人 |
上記のように、1日の必要客数は単価がカット料金6,000円なら5人、カット・カラー料金なら10,000円で3人です。
単純に毎月リピートしてくれると仮定して算出すると、以下の人数が出ます。
単価6,000円の場合 | 単価10,000円の場合 |
125人×12か月=1500人 1500人×20%=300人 300人÷12か月=25人 | 75人×12か月=900人 900人×20%=180人 180人÷12か月=15人 |
もっと言えば、数というよりは高単価な顧客のリピート率を7〜9割以上キープできるかが重要ポイントです。
1人美容室の店舗事例
ここでは、一人経営の店舗事例を見ていきましょう。
1人美容室で成功させるには、店舗のデザイン性や規模なども重要となってきます。
スタッフ1人の美容院であれば、
- 10坪以下
- セット2面
- シャンプー台1台
といった店舗面積でスタートさせるのが一般的に良いとされています。
それは、基準値となる作業面積に加えて、待合室・トイレ・バックスペースなどを考慮した間取り、かつコストを抑えた広さであることからです。
これは保健所から営業許可をもらうために必要な最低基準となっているからです。
画像:美容室開業.com「6坪/セット2面/シャンプー1台の美容室事例」
画像:CLASIS HOME「木のぬくもりが心地良いプライベートサロン」
画像:colmo design + i 「美容室施の工事例:63.6㎡ / 19.2坪」
一人美容師であれば、十分な広さである10坪以下の店舗面積ですが、スタッフを1〜2名雇用するというならば、さらに15〜20坪と広さを調整する必要があります。
ただし、売上の見通しが立たない段階ではじめから広いテナントを持つのは注意が必要です。
テナント賃料の目安
個人経営の際、設定する家賃は売上げ目標の7%〜10%を目安にします。
当然ながら、固定費として大きく占める家賃をできる限り抑えることで利益率も上がるためです。
例えば、月100万円の売り上げを目標とする場合なら、10万円未満の家賃に収めるということ。
ただし、売上を達成させるためには「立地の良さ」も大きく影響するため入念な調査をして、価格とのバランスがうまく取れる選択をするようにしましょう。
美容室経営を1人でするメリット
個人美容室を経営する場合のメリットでは、以下3つの内容が挙げられます。
1人サロン経営のメリット
- 自由度が高い
- 対人ストレスがない
- 人件費がかからない
自由度が高い
メリット1つ目は、自由度が高い働き方ができることです。
それは、自分ですべて決めることになるからです。
労働時間やお店づくり、施術メニューの料金、あらゆることにおいて自分で決断していくことになります。
思い通りのサロンで好きな働き方が自由にできるのが最大の魅力となるでしょう。
予約がない時間や急な休みも好きなように時間を使えます♪
対人ストレスがない
メリット2つ目は、対人ストレスがないという点です。
スタッフがいると思い通りにいかないことも少なくないからです。
スタッフへの教育や雇用における苦労がありません。
一人サロンでは、オーナー以外のスタイリストがいないので、自分と顧客だけの空間で仕事ができます。
人間関係の面でもストレスフリー。
人件費がかからない
メリット3つ目は、人件費がかからない点です。
なぜなら、人件費が経費として占める割合が大きいからです。
サロン売上の割合比率
- 人件費35%
- オーナーの給料20%
- 家賃・水道光熱費が10%
- 美容材料費10%
- その他25%
ひとりサロンなら、売上から諸経費を差し引いた利益すべてが自分の収入になります。
売上次第では収入アップが期待できます。
ひとり美容室で注意したいデメリット
個人美容室を経営する場合の注意点・デメリットでは、以下4つの内容が挙げられます。
1人サロン経営のデメリット
- 売上確保が困難
- 大きな成長が見込めない
- 固定費の維持
- 長期的な視点が持ちにくい
売上確保が困難
デメリット1つ目は、売上確保が困難な場合がある点です。
それは、ケガや体調不良などで働けなくなる場合もあり得るからです。
美容室の一人営業では、他のスタッフがいない分、すべて自分ひとりで売り上げを作り続けなければなりません。
そういったリスクがあることに対して、必要な対策を用意しておく必要があるのです。
>>一人美容室の失敗と成功では、必須知識やノウハウを徹底解説しています。
大きな成長が見込めない
デメリット2つ目は、大きな成長が見込めないという点です。
それは、一人の美容師が1日にこなせる客数には限るがあるからです。
そう考えるとサロンの売上や利益には限界があり、お店を大きくしていき事業拡大を目指すといった場合においてはで注意すべき部分と言って良いでしょう。
お客さまとの時間を大切に、自分の生活も維持できる売上を理想とする生き方なら何も問題はありません。
固定費の維持
デメリット3つ目は、固定費の維持です。
それは、お店を維持するための運転資金などの維持費がかかるからです。
店舗を持つためには開業資金を用意して終わりではなく、運営するうえで必要となる費用が色々と発生します。
維持費の例
- 家賃
- 光熱費
- 仕入れ
- メンテナンスなど
同じ独立でも、面貸しでフリーランスとして働く場合は、店舗利用料金が発生するだけで済みます。
>>美容師・個人事業主の税金ではフリーランスのメリット・デメリットについてご紹介しています。
長期的な視点が持ちにくい
デメリット4つ目は、長期的な視点が持ちにくいことです。
それは、体力的にも限界があるからです。
美容師免許に期限や年齢制限はなく、一度取得してしまえばいつまでも働き続けることができますが、年齢を重ねていくうちにいずれ体力に限界を感じる場面が訪れることは避けられません。
ずっと1人で美容室を続けながら生活を維持していくことは、長期的に見ると決して簡単ではないということをあらかじめ理解しておく必要があります。
>>美容室開業で失敗では、美容師の独立経営での失敗事例や成功させるポイントを解説しています。
開業資金の目安は800万円〜1,000万円
1人美容室の開業資金の目安は、およそ800万円〜1,000万円と言われています。
主に、内訳は以下の内容です。
開業資金の内訳
- 物件取得費
- 内外装費
- 設備費
- 備品代
- 宣伝広告費
- 当面の運転資金
物件取得費
物件取得費は、100~200万円前後が予測できます。
物件取得には主に、
- 敷金(保証金)
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
などの費用が生じます。
>>田舎美容室儲かる?では、地方経営ならではのメリット・デメリットや集客方法、年収についてご紹介しています。
内外装費
内外装費には、500万円前後を考えておくといいでしょう。
内装:床・壁・空調・電気など
外装:外壁・ドア・看板など
理想通りにこだわるほど工事費用がかかります。
設備などが残ったままの居抜き物件であればコストダウンできる場合も。
設備費・備品代
設備費・備品代には、100万円〜200万円程度かかると予測できます。
施術や接客に欠かせない必要な物品が多くあるためです。
これらの費用に関しては、まとめ買いやメーカー、ショップの選び方で大きく変動してくるコストと言えます。
宣伝広告費
宣伝広告費には、50万円程度かかる場合もあります。
特に新規開業の場合だと、集客対策には力を入れる必要があるためです。
とはいえ、ホットペッパービューティーや楽天ビューティーなどのサロン予約サイトに多額の費用をかければ良いというものでもないため、予算内でできる方法や、コスパのいい方法をあらかじめ考えておく必要があります。
当面の運転資金
当面の運転資金としては、少なくともも100~150万円程度を準備しておきましょう。
最低でも売上の3か月分を見込んでおく必要があるためです。
美容室の営業には、家賃・水光熱費・通信費など、毎月かかる費用があるため、経営が安定するまでや万が一の事を考えておくようにします。
>>美容師売り上げ100万と50万の給料・平均年収では、美容室やフリーランス美容師の平均売上や客単価・給料について解説。
個人サロンには確実に需要がある
ひとりでやってる個人サロンには確実に需要があります。
なぜなら、ネットでは「1人美容室」を探すための検索キーワードで溢れているからです。
このような地域ごとに関連性の高い検索キーワードがヒットします。
- 「プライベートサロン 美容室 東京」
- 「女性 1人美容室 横浜」
- 「1人でやってる美容室 埼玉」
- 「スタイリスト 1人 東京」
お客様から見る1人オーナー美容室の魅力は、「落ち着いて施術が受けられる空間」ではないでしょうか。
ゆったりとした貸切のプライベート空間で受ける施術は、特別感や贅沢なサービスを体感してもらえるだけでなく、リラックスできる時間を提供できます。
特に「美容室の雰囲気が苦手」という方には相性の良いサービスと言えます。
その分、快適に感じてもらえる接客やサービス、お店づくりに注力することで、リピート率をグッと上げることも現実味を帯びてきます。
WEBマーケティングの視点からサロン集客を成功させるポイントや注意点については
>>美容室SEO対策・美容院MEO対策とはで詳しく解説していますので参考になさってみてください。
やり方次第で普通のヘアサロンとの差別化を図りやすい経営手法とも言えますね!
まとめ
今回は「美容室の1人経営」について解説しました。
一人サロンの美容室では、デメリットや注意点もありますが、事前に知っておくことでリスク回避ができると言えます。
美容師としてのライフスタイルを、もっと自分らしい方法で築き上げたいなら、前もって積極的に情報収集や経営の勉強をしておくことが大切だということ。
また、綿密な売上設定と、その目標達成ルートを細かく算出することも重要です。
>>美容院カルテでは、個人サロンにオススメの電子カルテアプリをご紹介しています。
>>美容室個人経営は儲かるでは、コストに着目する重要性について解説していますので、独立開業の参考にしてみてください。
夢をカタチにできることを祈っています。